岩国基地機能強化に関する住民投票に関する各紙社説

2006.03.16

私が読んでいる新聞では、13日及び14日に社説・論説で岩国での住民投票について取り上げていました。いずれも日米安保体制の存続を前提にしたものという大きな限界をもっていますが、結論部分を紹介します。

中国新聞社説「民意を重く受け止めよ」(13日付):「米国の世界戦略を具現化するとされる今回の在日米軍再編案に対し、専門家の間でも疑問の声は大きい。将来に禍根を残さないためにも、拙速は厳に慎むべきである。」

朝日新聞社説「地元無視のツケだ」(14日付):「民意に支えられない同盟の基盤はもろい。強行突破は、かえって日米関係を傷つけることになる。」

沖縄タイムス社説「『民意』を重く受け止めよ」(13日付):「日本政府は、関係自治体の意見に真剣に耳を傾け、再検討を急ぎ対米交渉を仕切り直すべきだ。」

琉球新報社説「国内移転の無理が分かった」(13日付):「今回の岩国の選択は、基地機能の国内移転には無理があることを知らしめた、という点でも意味がある。負担軽減を考えるなら、もはや移転先は海外しかない。計画を根本的に練り直す姿勢が日米両政府に求められている。」

長崎新聞論説「結果を重く受け止めよ」(14日付):「狭くて人口過密の日本国内で基地をたらい回しすることには限界がある。新たな安全保障環境を考えるなら、もっと大幅な海外移転を検討すべきだ。」

結果を「重く受け止めよ」と3紙が指摘していることに示されるように、岩国の住民投票が全国的な民意の反映であることが分かります。「地元無視のツケだ」にしても、「国内移転の無理が分かった」にしても、政府の対米追随を糾弾している点で共通しています。それでもなお政府は強行突破をはかるでしょうが、国民世論の盛り上がりが今ほど必要なときはないと思います。

同時に次のことを是非指摘しなければなりません。中国新聞社説が遠慮がちに指摘しているように、問題の本質は「米国の世界戦略を具現化するとされる今回の在日米軍再編案」という点にあります。米国の世界戦略とは、アメリカが敵と勝手に見なす存在を先制攻撃戦略でやっつけるという危険きわまるものであるということです。世界を暴力団・山口組が支配する、ということなのです。山口組が日本以外のところに拠点を移しても、それで世界の平和が保たれるということにはなりません。私たちは、自分のところに火の粉が降りかからなければそれでいいのだ、というような狭い料簡でいてはいけないのです。私たちは、世界全体の平和を考え、アメリカの世界戦略そのものに対して異議を申し立てる大局的思考を持たなければならないと心から思います。

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