韓国と中国が日本に訴えていること

2005.04.12

*韓国と中国は、いま日本人に必死に訴えています。そういうメッセージの原文を紹介します。太字の部分は私が強調したものです(2005.4.12)。

盧武鉉韓国大統領の三・一節記念演説

尊敬する国民の皆さん、独立運動功労者と御来賓の皆さん。

86回目の三・一節記念式典をここ柳寛順記念館で行えることは嬉しく、あの日の感動がより生き生きと感じられるようです。

三・一運動は、実に誇らしい歴史です。人間の自由と平等、国の自主と独立の権利を明らかにした三・一精神は、現在も人類社会と国際秩序の普遍的原理として尊重されています。また、上海臨時政府から今日のわが政府に至る大韓民国の正統性の根源となりました。

このような三・一運動の偉大な精神を引き継ぎ、二度と100年前のような過ちを繰り返さないことが、愛国先烈に対する道義であり、三・一節に新たにする我々の誓いであります。

国のために犠牲となり、民主主義と繁栄の礎石となって下さった愛国先烈の方々に頭を垂れ、敬意を表します。独立運動功労者と家族の皆様に、深い尊敬と感謝の言葉を申し上げます。

国民の皆さん

私は去る日曜日(2月27日)、独立記念館に行って参りました。

旧韓末、開化をめぐる意見の違いが論争を越えて分裂にまで至り、指導者たち自身が国と国民を裏切った歴史を見ながら、今日我々が何をなすべきかを、深く考えました。そして、我々の地を巡って日本と清、日本とロシアが戦争を起こした状況下で、無力だった我々がどちらの側に立ったとしても、何が違っただろうかと思い、国力の意味を改めて考えさせられました。そして今日の大韓民国が本当に誇らしく思えました。

今、我々は100年前の列強の狭間でまったく変数にもなれなかった、そんな国ではありません。世界に引けをとらない民主主義と経済発展を遂げ、自らを守れるだけの十分な力を持っています。北東アジアの均衡者の役割を果たせる国防力を育てつつあります。今日の我々の姿を、先烈たちも頼もしく思って下さることでしょう。

国民の皆さん

今年は韓国と日本の国交正常化40周年となる特別の年です。一方で、韓日基本条約に関する文書が公開されて、未だに解決できない過去の問題が甦ったり、また別の問題が提起されてもいます。

これまで韓日関係は、法的にも政治的にも相当な進展を遂げてきました。1995年に日本の村山首相が「痛切な反省と謝罪」を表明し、98年には金大中大統領と小渕首相が新韓日関係パートナーシップを宣言しました。2003年には、私と小泉首相が「平和と繁栄の北東アジア時代のための共同宣言」を発表しました。

韓日ィ笞�は、東北アジアの未来を共に開くべき運命共同体です。お互いが協力して平和政策と共同繁栄の道を歩まずには、国民の安全と幸福を保障できないという条件の上に立っています。法的、政治的関係の進展だけで両国の未来を保障することは出来ません。もしそういう考え方を探るとすれば、やるべきことをやり尽くしたとは言えません。もっと実質的な和解と協力の努力が必要なのです。

真実と正義によって、両国国民を隔てている心の障壁を崩し、本当の隣人として生まれ変わらなければなりません。

フランスは反国家的行為を犯した自国民に対しては峻厳たる審判を下しましたが、ドイツに対しては寛大に握手し、欧州連合(EU)の秩序を作って来ました。昨年、シラク大統領はノルマンディー上陸作戦60周年記念式典にドイツ首相を初めて招待し「フランスの人々はあなたを友達として歓迎する」と友情を表明しました。

われわれ韓国民もフランスのように寛大な隣人として、日本と一緒にやっていきたいという願いを持っています。

これまで、わが政府は国民の憤怒と憎悪を煽らないよう節制し、日本との和解・協力のために積極的な努力を払ってきました。実際、韓国国民はよく自制し、理性的に考え、分別を持って対応していると思います。

私はこれまでの両国関係の進展を尊重し、過去の歴史問題を外交的な争点にしない、と公言したことがあります。そして今もその考えは変わっていません。過去の歴史問題が提起される度に交流と協力の関係がまた止まって両国間の葛藤が高まることは、未来のために助けにならないと考えたからです。

しかし、我々の一方的な努力だけで解決されることではありません。二つの国の関係発展には、日本政府と国民の真摯な努力が必要です。過去の真実を究明して心から謝罪し、賠償することがあれば賠償し、そして和解しなければなりません。それが全世界が行っている、過去の歴史清算の普遍的なやり方です。

私は拉致問題による日本国民の憤怒を十分に理解します。同様に日本も立場を替えて考えてみなければなりません。日帝36年間、強制徴用から従軍慰安婦問題に至るまで、数千、数万倍の苦痛を受けた我々国民の憤怒を理解しなければならないのです。

日本の知性にもう一度訴えます。真実なる自己反省の土台の上に韓日間の感情的なしこりを取りのけ、傷口が癒えるようにするため、先立ってくれなければなりません。それこそが、先進国であると自負する日本の知性的な姿です。そうしなければ、過去の束縛から抜け出すことはできません。いくら経済力が強く、軍備を強化したとしても、隣人の信頼を得て国際社会の指導的国家となるのは難しいことです。

ドイツはそれをしました。そして、それだけの待遇を受けています。彼らは自ら真実を明らかにして謝罪し補償するという道徳的な決断を通じて、EUの主役に乗り出すことができたのです。

尊敬する国民の皆さん

韓日協定(韓日基本条約)と被害補償問題については、(韓国)政府も不足があったと思います。

国交正常化自体は止むを得ないことだったと思います。いつまでも国交を断絶したままでいるわけにもいかず、我々の要求をすべて貫徹させられなかった事情もあったでしょう。しかし、被害者の人々にとっては、国家が国民個々人の請求権を一方的に処分したことは納得しがたいことです。

遅きに失しましたが、今からでも政府はこの問題を解決するために積極的に努力します。国民の皆さんの意見を集め、国会と協議して適切な解決策を模索していくつもりです。首相室では既に官民共同の委員会を設置して様々な方策を検討していますし、より包括的な解決のために国民諮問委員会の設置を準備しています。

そして請求権問題以外にも、いまだに埋もれている真実をあきらかにし、遺骨を返還してもらう等の問題に積極的に対応していくつもりです。日本も、法的問題以前に、人類社会の普遍的な倫理、そして隣人同士の信頼の問題であるという認識をもって、積極的な姿勢を見せてくれなければならないでしょう。

国民の皆さん

三・一運動の精神を反芻しながら、先烈たちが夢見た先進韓国の未来に向って精一杯頑張りましょう。日帝の銃剣に立ち向かった先烈たちの勇気と、すべてを超えて一つになった大同団結の精神が、我々の未来を導いてくれるのです。

ありがとうございました。

NSC常任委員会声明文(2005.3.17)

政府は本日、NSC常任委員会を開催し、韓日関係の昨今の状況を評価し、今後の韓日関係の基調と対応方針を論議しました。これを、国民の皆樣に次のようにお知らせします。

〔韓日関係発展のための現政府の2年間の努力〕

現政府(参与政府)はこれまで2年間、「過去を直視し未来に向かって日本と共に進む」という基本精神と「平和と繁栄の東北アジア時代」というビジョンのもと、韓日関係の未来志向的な発展のため不断の努力を展開してきた。

現政府はこれまで、隔たりのない通常の外交政策を始めとする多様な外交を展開し、大きな懸案事項についても国内政治を考慮をせず、未来志向的な姿勢に基づき対処してきた。同様に「韓日両国が東北アジア経済協力を積極的に推進していく」というビジョンを持って、FTA協商を開始した。そして、韓日善隣友好関係の土台になる人的・文化的交流の増進にも努力を惜しまなかった。

我々は、不幸な過去の束縛から抜け出し、未来に向かって協力していこうとのメッセ-ジを日本政府に継続的に伝えてきた。これは、過去の歴史問題をめぐり、被害当事国が加害国に度量を示したものであった。我々は、外部の圧力によらない、人類の普遍的な価値に基礎を置いた日本自らの努力を求めてきた。このような脈略から、昨年7月の済州島定期会談で、現政府任期中には過去の歴史を外交の争点として提起しないという意思も明らかにした。我々は普遍的な常識に照らして、日本は我々の善意に対して、両国間の古来よりの繋がりを思い起こし、自らが過去の歴史問題を論点として取り上げるであろうという、当然の期待を持っていたのである。

しかし最近、日本が取った一連の行動は、東北アジアの平和勢力として、隣国と共存する意思があるのだろうかという根本的な疑念を我々に抱かせている。

むろん我々は、日本国民の多数が過去の反省を忌避し、一部の国粋主義者らの言動に同調しているとは見ていない。しかしながら、日本の指導層の一部に時代錯誤的な歴史観を土台とした一種の退行的言行がむしろ増加していることは、厳然たる事実である。そして、過去の侵略と強権の歴史を美化する歴史教科書が、是正されないまま中央政府の検定を通過するという事態に大きな懸念を抱いている。

そして日本政府は、過去の植民地侵略過程において強制編入し、(1945年の)解放によって回復された韓国領土に対する領有権を主張している。これは単純な領有権問題ではなく、解放の歴史(日本の植民地政策が否定された歴史)を否定し、過去の侵略を正当化する行為に相違ない。

韓国政府としては、このような昨今の状況から、95年の村山首相会談や、98年の韓日パートナーシップ共同宣言を通じた明確な「反省」と「謝罪」の表明まで、封印してしまうのではないかという疑念さえ抱かざるを得ない。

未来志向的な関係構築のため、韓国政府が過去の歴史に対する新たなアプローチを模索している時期に、逆に日本国内でこのような退行的な動きが続いていることを我々は非常に遺憾とする。これは韓日善隣友好関係に対する深刻な毀損行為であるとともに、東北アジアの平和繁栄を望んできた近隣国家すべての願いに逆行するものである。

[今後の韓日関係の基調と対応方向]

このような認識と立場を土台として、政府は今後次のような基調に立脚して韓日関係に臨むこととする。

  1. 政府は今後、人類の普遍的な価値と常識に基礎を置いた韓日関係を構築する。このような次元で、<徹底した真実究明、真の謝罪と反省、そして許しと和解>という世界史的に普遍な方式に立脚して、過去の歴史問題を解決していく。
  2. 政府は、最近、日本の一部地方で起きている、独島(竹島)や歴史についての一連の動きを、過去の植民地侵略を正当化しようとする意識を内在した、重要な問題と見なし、断固として対処する。
  3. 政府は、我々の大義と正当性を国際社会に堂々と示すために、あらゆる努力を払い、その過程で日本の態度変化を促す。
  4. 政府は、東北アジアの平和と繁栄を追求するために、現在および未来においても、宿命的なパートナーである日本と、すでに合意され、予定されている外交的な交流を継続し、経済・社会・文化・人的な交流は変わりなく増進する。

以上のような基調のもと、政府は韓日関係の当面の問題について、次のように対応する。

  1. 独島についての我々の領有権を、確固として守る措置をとる。
  2. 国際社会及び日本の良心的な勢力と連帯し、時代錯誤的な歴史歪曲を正し、同時に、歴史についての正しい共同認識を形成できるよう、可能なあらゆる手段を活用して対処する。
  3. 日帝被害者問題は、人類普遍の規範と人権の問題であるだけに、正当に解決できるよう努力を尽くす。韓国は韓国がなすべきことを行い、日本は日本が当然なすべきことを行うという、明確な認識が必要である。これまで韓国政府は、日帝被害者問題についての市民社会の要求に対し、直接の対応を自制してきた。しかし政府は、個人被害者に対する権利保護は普遍的な人権問題であって国家はそれを剥奪することはできない、という認識のもとに、韓日協定によって韓国政府が負担すると決定した問題は我々で解決する一方、韓日協定の範囲外の事案については、人権尊重と人類普遍の規範の遵守という次元から、被害を受けた個人に対する問題については、日本政府が自ら解決するように促す。
  4. 日本は、まず隣国の信頼を得ることが、国連などの国際社会で指導的国家として尊敬される第一歩であることを認識すべきである。政府は、この問題に関連する日本の動きを注視し、適切に対応する。
  5. 我々は、日本が未来の東北アジアの平和と安定をともに具現化するパートナーであり、運命共同体であるという信頼と希望を捨てない。このような脈絡から、既存の人的・文化的な交流協力事業はこれまでと変わりなく推進し、特に両国間の理解を深めてきた、市民社会ネットワークの構築努力はさらに強化する。これを通じて、両国社会の底辺(草の根)から歴史問題を解消できるよう基盤作りをする。

我々は、過ぎた不幸な歴史を繰り返さず、今日の日本が持つべき正しい歴史認識と、近隣諸国に対して取るべき態度について真摯な省察と論議を日本国内に広げるため、日本の良識と知性ある市民が、先立って行動することを期待する。

国民の皆様、

韓国政府のこうした政策転換により、乗り越えるべき課題が出てくると思います。しかし正しい歴史の発展と大義のためには、堪え忍ぶべきは堪え忍ぶという姿勢が必要です。我々は、確固たる歴史意識を持ち、困難を克服した民族こそが、長く栄え、世界的に尊敬されるという信念を持っています。

最後に国民の皆様にお願い申し上げます。

最近の事態に直面し、国民の皆さんが受けた精神的苦痛や憤怒を十分に理解しています。しかし国民の皆様と共に作る、平和と共存の未来に傷がつかぬよう、我々の意思を表現するにあたって品位と節度を保つ必要があります。特に、相手国に対する侮辱や、国家間の礼儀に反することがないようお願い申し上げます。

ノ・ムヒョン大統領の国民向け談話(2005.3.23)

尊敬する国民の皆様、

私は、報道を通じて、国民の皆様の怒りを実感しています。同時に、沈黙を守っている多くの国民の皆様方が、もどかしさを感じていることにも共感しています。

皆様が感じる怒りともどかしさを少しでも和らげようと、この文を書きました。

国民の皆様がお持ちになっているもどかしさは、強い怒りと抗議にもかかわらず、希望的な結末が予測しにくいという点でしょう。これまでわが国民は政府の煮え切らない対応をした時にも、強硬な対応の後にも、さしたる結果をもたらすことが出来ずうやむやになってしまった時にも、我々の意志を貫徹する適当な手段がないという状況を理解し、咎めることなく悔しさを静めてきました。

今回の政府の対応に対しても同様です。まだ、ある面ではすっきりしたと感じながらも、やはり望ましい結果を期待するには程遠く、もどかしく思われていることでしょう。

しかし国民の皆様、

今回はこれまでと違う形でいくつもりです。正しい対応をとっていきます。もちろん感情的な強硬策はとりません。戦略を持って慎重に、かつ積極的に対応して行きます。途中でうやむやにすることもありません。将来を見通し、持続的に対応していきます。

尊敬する国民の皆様、

日本はこれまでに自衛隊の海外派兵の法的根拠を整え、今や再軍備に関する議論を活発に進めています。これらは我々に苦しい過去を思い出させ、未来を不安にさせています。

しかし、すでに日本が謝罪し、私たちがこれを受け入れ、新しいパートナーシップを宣言していました。普通の国家が一般的に享受する国家権能を日本だけが受けられないということは日本国民も納得できないでしょう。このような判断から、私たちは心配を押さえ込み、言いたいことを我慢してきました。それは、韓・日関係の未来のためでした。

厳密な意味で、謝罪は真の反省が前提になるものであり、それに相応しい実践が伴わなければなりませんので小泉首相の(靖国)神社参拝は、これまでの日本の指導者らが行ったきた反省と謝罪の真意を損なうものです。

これに対しても韓国政府は直接的な外交の争点としたり、対応措置をとることなく、自制を促すのみに止めてまいりました。これこそが、日本の指導者らが口癖のように繰り返す「未来指向的韓・日関係」のためでした。しかし、今はこれ以上見過ごすことのできない事態となってしまいました。

露・日戦争は、その名のとおりロシアと日本の領土をかけた戦争ではなく、日本が韓半島を完全に占領するために起こした韓半島侵略戦争でした。実際、日本はこの戦争に勝利した後、韓国の外交権を強奪し、事実上の植民地統治を始めました。

日本はこの戦争中に独島を自国の領土に編入しました。まさに武力で独島を強奪したことにほかなりません。日本の島根県がヤ竹島の日ユとして宣布し100年前の2月22日は、日本が独島を自らの領土に編入した日にあたります。これこそ、過去の侵略を正当化し、大韓民国の光復(解放)を否定する行為です。

教科書問題も同様です。2001年に日本で歪曲された歴史教科書がほとんど採択されなかった時、我々は日本の良心に期待を抱き、東北アジアの未来に楽観的な展望を持ちました。ところが現在、その歪曲された教科書がまた生き返ろうとしています。これもまた侵略の歴史を正当化する行為です。

これらの行為は、一つの地方自治体や一部の非常識な国粋主義者らの行為にとどまらず、日本の執権勢力と中央政府のほう助の下で行われています。そのため、我々はこれを日本の行為としてみなすしかありません。こうした行為は、これまで日本の反省と謝罪を全て白紙化に戻す行為です。

今回は政府も断固として対応しなければなりません。侵略と支配の歴史を正当化し、また再び覇権主義を貫徹しようとする意図をこれ以上、見過ごすことは出来ません。韓半島と東北アジアの未来がかかっている問題であるためです。

これらの行為は、日本の殆どの国民の考えと異なるものであるということは事実です。しかし政治指導者が煽り、間違った歴史を教えるようなことが続けば、状況はすぐに変わりうるでしょう。

尊敬する国民の皆様、

政府は、積極的に対応いたします。これまで政府は、日本に対し言わなければならない言葉や主張があっても、なるべく市民団体や被害者に代弁させ、発言を慎んできたことは事実です。

被害者らの血の滲むような叫びにも手を貸すことなく、被害者らが真相究明のため奔走するのにも積極的に手伝って来ませんでした。政府間の葛藤が持たらす外交上の負担や経済に与え得る波紋に対する考慮もありましたが、何よりも未来指向的な韓・日関係を考えての自制でした。

しかし、その自制がもたらした結果は、未来を全く考慮していないような日本の行動です。今は、政府が対応しないことによって、日本の行為を招いたのではないかとの疑問が起きています。このままではいけません。今からでも政府ができることを全て行います。

まず、外交的に断固とした対応をとります。外交的対応の核心は日本政府に対し断固として是正を要求することです。日本政府の誠意ある対応を期待できないという疑問もありますが、当然、行わなければならないことならば、聞き入れられるまで、休まず粘り強く要求します。

さらに、国際世論を説得いたします。現実の国際秩序は「力の秩序」であり、国家関係は利益優先です。しかし他方では、国際社会は、互いに尊重しなければならない普遍的価値と秩序を強調する方向へと漸次的に進んでいるのも事実です。

日本が普通の国家を越えて、アジアと世界の秩序を主導する国家になろうとするならば、歴史の大義に符合するよう対応をとり、確固たる平和国家として国際社会の信頼を回復すべきです。

国際社会も日本が人類の良心と国際社会の道理に合う行動をするように促す義務があります。私たちは国際社会にこの当然の道理を説得していきます。

また、何よりも重要なのは日本の国民を説得することです。窮極的な問題の解決のためには、日本国民が歴史を正しく理解し、韓・日両国と北東アジアの未来のために、日本がとるべき道は何であるのかを正しく理解しなければなりません。それによってこそ日本政府の政策が正しい方向を定めることができるのです。

これらは決して容易なことではありません。他人の過ちを指摘するということは困難であるばかりか、気まずいことでもあります。お互いに顔を紅潮させて、対立することも多くなるでしょう。他国の人々の前で、互いをけなし争う姿を見せることは非常に心苦しいことでもあります。

手厳しい外交戦争もありえるでしょう。その上経済、社会、文化その他の様々な分野の交流が萎縮しそれが韓国経済を脅かすのではないかとの憂慮も生じるでしょう。

しかし、こうした問題に関しては、さほど心配する必要はありません。すでに韓国もある程度の困難は十分に耐え得る力量を持っています。そして国家として必ず解決すべき問題のためには、耐えねばならない負担も、毅然と背負わなければなりません。しかしその一方、耐えがたいほどの負担にならないように状況を管理していきます。

国民の皆様、

どんな困難があっても、退いたり、うやむやにするのではなく、国民が受け入れことのできる結果が出るまで、持続的に対処していきます。今回は必ず根本から改善します。困難な時は国民の皆様に助けを求めます。新しい局面を迎えた時には、国民の皆様の意見に耳を傾けます。

これらのことを決心して、国民の皆様に報告しながら、いくつかお願い申し上げます。

第一、一部国粋主義者らの侵略的意図を決して容認してはなりません。だからといって日本の国民全体を不信や敵対してはならないということです。日本と韓国は宿命的に避けることのできない隣国です。両国国民の間に不信と憎しみの感情が芽生えれば、再び途方もない不幸を避けることができないでしょう。

第二に、冷静に落ち着いて対応していかなければなりません。断固たる対応の中にあっても、理性的な説得と品位を失ってはいけません。ある程度の感情表現は当然ですが、節度を失ってはいけません。力による戦いではありません。名分がなければ捕えられることにもなります。過度に感情を刺激したり、侮辱する行為は特に自制しなければなりません。

第三に、根気と忍耐を持って対応しなければなりません。この争いは一日二日で終わる争いではありません。持久戦です。どんな困難でも甘受するという悲壮な覚悟で臨み、体力消耗を最大限に減らす知恵と余裕を持って粘り強く対応しなければなりません。

第四に、将来を見て戦略的に対応していかなければなりません。慎重に判断し、話し、行動しなければなりません。一喜一憂せず、無理をしてもいけません。これまで、あまりに多くの言葉と行動が出てしまったのではないかという不安もあります。

尊敬する国民の皆様、

我が国民の要求は歴史の大義に基づいています。私たちは無理なことを要求してきたのではありません。更なる謝罪を要求してもいません。不十分な謝罪でさえ、白紙に戻してしまうような行為を正すよう要求しているだけです。そしていまだに処理されず残された問題に関しては、事実を認め適切な措置をとることを促しているだけです。

私は事必帰正(万事必ず正しい道理に帰する)という言葉を信じます。私にはこれらを正しく処理する所信と戦略があります。決して国民の皆様を失望させはしません。

信頼を持って協力してくださるようお願いします。そして勇気と自信感を持ってくださることをお願いいたします。私たちの要求は必ず歴史が応えてくれるでしょう。

中国・温家宝首相の対日関係改善の3原則(2005.3.14)

第一は、歴史を鑑とし、未来に目を向けること。今年は中国人民の抗日戦争勝利60周年である。この歴史を記念することによって、戦争が中国人民、アジア人民、さらには日本人民にもたらした苦難を想起させることができる。歴史の悲劇を永遠に再発させてはならない。日本側も、このチャンスを捉えて、中日友好を促進するように希望する。

第二は、一つの中国の原則を堅持すること。日米安全保障同盟は日米双方の事柄だが、中国が関心を持つのは、それが台湾問題に関わっているからである。台湾問題は中国の内政であり、いかなる国による直接あるいは間接の介入も許されない。

第三は、協力を強化し、ともに発展すること。中日友好協力には大きな潜在力があり、とりわけ経済・貿易面で、われわれの目標は両国の共同の発展を実現することである。

私はさらに3点を提案したい。第一に、積極的に条件を作り出し、中日ハイレベルの相互訪問を促進する。第二に、双方の外交部門が中日友好強化について戦略的研究に共同で着手する。第三に、歴史に残された問題を適切に処理する。

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