朝鮮への二人の方の想い

2008.10.20

19日に朝鮮語の第1クールが終了しました。L先生がその日はホルモン焼きをごちそうしようと前から言ってくださっていたので、もう一人の受講生の人と一緒に先生のお宅に押しかけることになりました。その日には是非参加すると言っておられた82歳になるW先生が授業を受けているところに現れたのにはびっくりしました。W先生は最近脳梗塞を患われていて、私としては「まさか」と思っていたので、余計にびっくりした次第です。

ホルモン焼きも美味しかったですが、L先生とW先生の朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に関するお話しには本当に引きつけられました。社会主義国における世襲体制に対して根源的な批判を持つW先生の見解にもうなずく私がおりましたが、最近の朝鮮訪問において金正日が早くから最高指導者になるべく英才教育を受けていたことを知ったこと、つまり、彼の指導者としての才能を読み込んだ上での「世襲」という形になったのではないかという見方も紹介しました。L先生は、私のそうした見方に同意しつつ、W先生の指摘については教条的に論駁するのではなく、金日成の時代から在外同胞をしっかりと受け止めた朝鮮(韓国はそうではない)こそが自分の祖国であるという確信が、「世襲」問題によって揺らぐことはない、と言うのでした。

私は今、林東源『南北首脳会談への道』を引き込まれる気持ちで読みつつあります(読後感は改めて書きたいと思っています)が、ここでは金正日に関する林東源自身とこの本で紹介されているアメリカ・クリントン政権時代の国務長官であったオルブライトの人物評を紹介しておきます。

林:「相手の話をよく聴き、自ら話すのを好む。識見があり、頭脳は明晰、素早い判断力がある。明るくユーモアに富む。納得すれば、すぐに受け入れ、決断する。開放的で、実用的な考え方をする。話は論理的ではないが、テーマの核心を失わない。いい対話相手という印象を受けた。年長者を丁重に礼遇する。」

オルブライト:「「人の話をよく聞く立派な対話相手であり、実用主義的で決断力があるという印象だった。」「金委員長は驚くほど情報に明るく、博識で、思慮深く、熱心に話を聞くユーモア感覚の持ち主」

なぜ以上のことを紹介するかといいますと、L先生の話を聞いていて、なぜか以上の二人の金正日評のことを思い出したからです。L先生は熱情的な方でとても「個」をもった方と私は判断していますが、その彼が金日成、金正日の率いる朝鮮に対する信頼、確信をためらいなく表明する姿は、私には感動的ですらありました(はっきり断っておきますが、私は「世襲」とか「個人崇拝」ということは生理的に受け付けない人間です)。