放影研の将来像

2008.07.17

放射線影響研究所(放影研)の将来について議論する会合に参加しました(7月16日)。放影研の将来構想として、目指すべき方向、現在の放影研は老朽化が進んでいることもあり移転(立地及び建設費)についての考え方などが議論されました。

目指すべき方向に関しては、広島被団協の坪井直理事長が、放影研は、原爆被害者だけではなく、広く世界の放射線被ばく者のために活動する組織になってほしいと発言されたことがとても印象深く、私もまったく同感でした。前身ABCCの時の忌まわしいイメージを乗り越え、広島・長崎の「ノーモア・ヒロシマ/ナガサキ」の精神を活かした将来の進路が示されていたからです。

移転問題については、民間資金の導入という発言もありましたが、やはり国の財政負担による建設という意見が支配的だったと思います。

会合参加者からは気になる発言もありました。実は6月19日付の中国新聞一面トップで「国際平和機関 広島誘致へ」という記事が掲され、「世界各地の紛争後の平和構築などを担う国連機関や国際機関を創設し、本部を被爆地広島に誘致することを目指す、超党派の国会議員による勉強会が20日、発足する」ことが報道されました。発起人は、自民党の森喜朗元首相、安倍晋三前首相、中川秀直元幹事長などです。会合では、それを無条件で歓迎することを前提とする発言が相次ぎました。

私は、この会合で発言する気持ちはなかったのですが、発言する人たちの「平和」感覚に危惧を覚えたし、国に対する感覚にも違和感を感じたので、思わず発言を求めました。私が述べたのは、中川秀直代議士などの動きは、国連の軍事機能も含みうるものであって、「平和」という言葉が乱用されていることについて無条件に歓迎するということになってはいけないこと、また、国の財政負担を求めるという点については、放射性廃棄物の最終処分場を求める動きにおいて、国が財政窮乏の地方自治体の窮状につけいっていることについて考えなければいけない、という2点でした。

しかし、私の発言は極めて舌足らずでした。その舌足らずを補い、私が言いたかったことを正確に記録しておこうと思います。
第一、坪井理事長が提言されたように、放影研の将来的方向は、あくまでヒロシマ・ナガサキの原点に立脚して、非軍事の平和に徹する放射能被害に関する研究機関に徹するべきであること。国民保護計画が想定する核攻撃に与するような活動には絶対に与してはならないこと。
第二、国に財政負担を求めることは、「唯一の被爆国」を標榜する日本政府に対しては当然の要求であるが、それは絶対にひも付きであってはならないこと。新施設建設を追求するあまり、それにつけ込む日本政府の「戦争する国」への協力を呑むようなものであっては絶対にならないこと。