岩国基地問題に関する中国新聞世論調査

2008.06.09

6月8日付の中国新聞は、1面トップで「艦載機「受け入れ」65%」という大見出しの記事を掲載しました。私はこれまでの同紙の岩国問題に関する取り組み が弱いことについて強い批判の気持ちがありましたので、このように大きく取り上げたことについては評価したいのですが、世論調査の結果の内容を見て、この 大見出しはないだろう、と強く思わざるを得ませんでした。65%という数字の出所は、「空母艦載機舞台が厚木基地から岩国基地に移転することをどう考えま すか」という設問に対し、「賛成する」5.8%、「必ずしも賛成できないが、条件付きで容認する」25.2%、「反対だが、現在の状況を考えればやむを得 ない」34.0%の3つの答えの数を合わせたものなのです。残りの答えは、「あくまで反対する」31.2%、「その他」3.8%でした。 私が何よりも違和感を覚えたのは、反対する考えの人にとっての答えの選択肢が、「あくまで反対する」と「反対だが、現在の状況を考えればやむを得ない」の 2者択一しかないという設問のあり方です。例えば、「反対であり、国の再考を求める」というような設問を設けていれば、かなりの人がその答えを選択した可 能性は十分にあっただろうと思うのです。

その証拠に、「安全保障の問題について、国は「国策であり、自分たちで決める」としています。どう考えますか」という設問に対しては、「国に任せるべきだ が、自治体や住民の声を反映する仕組みがもっと必要」50.6%、「安全保障であっても自治体や住民の声を優先すべきだ」39.4%と、90%もの人が国 に対する強い不満を持っていることが読み取れるのです。 同じ傾向は、「米軍再編は日米同盟を強化する目的があります。日米安保体制のこれからについて、どう考えますか」という設問に対しても、「現状のままでよ い」18.6%、「見直して、米国追従だけではない関係を築くべきだ」58.0%と、80%に近い人びとが岩国基地強化に批判的な意見を持っていることが 読み取れるのです。だからこそ、この世論調査の詳報を行っている8面トップの見出しは、「国の姿勢に厳しい目」となっているのです。

私は、中国新聞の世論調査の設問のあり方そのものに対して、また、その分析のあり方、報道のあり方に対して強い批判と抗議の気持ちを表明しておく責任を感 じます。岩国市民が艦載機受け入れに大きく傾いているという「結果」は、極めて疑問のある設問のあり方によって強引に導き出されたものに過ぎません。これ ほど重要な問題について、中国新聞ともあろうものがずさんを極める設問でよしとし、そしてこういう強引な結論を一面トップの大見出しにするという不見識 に、私は最大限の抗議の気持ちを表明しておきます。また、岩国の皆さんがこのような「偏向」報道に一喜一憂することなく、岩国基地における米軍再編をス トップさせるためにさらに運動を高められることを、強く希望したいと思います。