有事前提の安保政策に異議を

2007.11.09

*本日、広島市は市の国民保護計画の素案を発表したことがメディアで報道されました。私は日頃から、広島が広島であるためには、「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ウオー」を真摯に訴えなければならないと主張してきました。しかし、国民保護計画は戦争が起こることを前提にしたものです。その計画を広島市が作成するということは自己否定そのものです。市は、素案について市民の意見を求めるとのことですので、この私の主張に同意される方は、是非積極的に市に意見を寄せ、計画そのものを作るべきではないという声を上げていただきたいと思います。皆さんに考えていただく材料として、核攻撃自体に関する専門部会の報告書が明らかにされた時点で、私が毎日新聞(11月1日付広島版)に載った意見を以下に紹介します(11月9日記)。

  核攻撃から市民を守ることはできない。それは当然の結論で、長崎市は対処法の検討すらしなかったが、広島市は非現実性に説得力を持たせるために、あえて手間をかけた。ここまでやったのなら、さらに踏み込んで国に有事を想定する政策自体への根本的異議申し立てをしてほしい。

国民保護法が想定する有事(周辺事態)が対日攻撃に発展したとき、現在の国際情勢(朝鮮半島有事、台湾海峡有事)では核攻撃へのエスカレートを考えざるを得ない。しかし、核攻撃に対応できないことが広島の検討結果が示すところだから、そもそも国民保護計画を作ることはナンセンスの極みだ。核攻撃の被害を軽減できるという発想に基づく有事体制・国民保護計画がまかり通るなら、それこそヒロシマ・ナガサキの悲惨を極めた体験が国民的に生かされないことを意味する。

核攻撃を招かないために、有事が起きないことに政府は全力を尽くすべきで、有事を前提とする安全保障政策は許されないということが、広島の検討結果から引き出される唯一の結論だ。