10月18日付の朝日新聞(広島版)掲載インタビュー

2006.10.18

10月18日付の朝日新聞(広島版)に掲載されたインタビューを掲載します。この内容については、事前に私のチェックを入れることができましたので、内容については、全面的に責任を負います。ただし、紙幅の関係で重要な部分(広島市における国民保護計画問題)が抜け落ちたのは残念でした。

ー核実験をどう受け止めましたか。

きわめて深刻だ。米ブッシュ政権は北朝鮮の核開発に、必要とあれば先制攻撃することを否定しない。そうなれば、核が使われなくても北朝鮮が「報復」として日本にゲリラ部隊を送り、原子力発電所を破壊するといったことも絵空事ではなくなる。反核の訴えが正念場を迎えていると受け止め、必死に、しかし冷静に判断することが求められている。

ーホームページで問題提起した真意は。

核実験の強行に座り込みをする。抗議文を送る。それがノーモア・ヒロシマの行動すべてと考えられがちな状況に自戒を込めつつ一石を投じたかった。「広島の悲劇を繰り返さない」の原点は本来、核戦争とそれにつながるあらゆる戦争を阻止すること。なのに私たちの社会はいつの間にか戦争が起こればどうなるかという想像力を失いかけているのではないか。ノーモア・ヒロシマと叫んだ後は現実論、では戦争は止められない。

ー具体的には何が足りないのでしょうか。

北朝鮮だけでなく、米国に向けて「絶対に戦争をするな」という強いメッセージを発するべきだろう。核実験に至った背景には、北朝鮮自身の問題だけでなく、米国の強圧一本やりの対北朝鮮政策があった。核実験の当事国に抗議するという従来型の行動だけでは、核が小国やテロリストに拡散し、それに米国が先制攻撃するという21世紀の情勢に対応しきれない。平和運動の再構築が問われているのではないか。

ー被爆地の役割とは何でしょうか。

期待も込めて言えば、世界最初の原爆投下地としての運命を背負った広島は、国際社会に対してどんな平和のメッセージを発信するか注目されている。運動の担い手を平均年齢が73歳を超えた被爆者だけにまかせてはいけない。被爆2世や若者ら、広島のすべての人の奮起が求められている。