「北朝鮮核実験 ヒロシマは問う」でのインタビュー(中国新聞連載)

2006.10.17

中国新聞が連載した「北朝鮮核実験 ヒロシマは問う」でのインタビューでの発言を採録します。ちなみに、広島に来て驚いたのですが、地元のメディアでは、事前に発言の内容について確認を求めないしきたりになっているらしく、今回の私の「発言」についても、私は事前に目を通すことになりませんでした。私としては、かなり不満が残る表現もあるのですが、活字になってしまいましたので、そのまま掲載します。

ー北朝鮮の核実験公表から国連安全保障理事会制裁決議までの動きをどう受け止めますか。

核実験をやった北朝鮮は本当に許せない。何とか思いとどまるのではないかと思っていた。落胆というよりもむしろ、世の中は一体どうなるんだという不安に襲われた。しかし、国内政治も国際社会も、制裁、圧力で北朝鮮を屈服させ、核を放棄させるという流れになっているのはまずい。

ー 問題の根本は、どこにあるのでしょう。

実験に反対するだけでなく、原因が米国の強硬路線一本やりの北朝鮮政策だ。フランスの新聞も今日の事態を招いたのは米国だと指摘している。心ある人は、北朝鮮と同時に米国が問題の原因だと知っている。

ーヒロシマは、その役割をかつてないほど問われています。

核ミサイル発射、原子力発電所破壊という国民保護計画が想定する二つの事態が現実となる可能性も今や否定できない。広島、長崎を経験した者はこれを許してはいけない。それがノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキの根源的意味だ。

ー具体的に、どう行動していきますか。

実験をやめさせるだけではなく、再び核被害が起きないようにするのがヒロシマからの発信の目的だ。結論としては米国に、北朝鮮が求める直接対話に応じさせるしかない。核実験反対集会で「米国よ対話に応じろ」とメッセージを発する。広島や長崎のメディアが一致団結してそういう論陣を張るのも国内外に向けてインパクトがある。

ー米朝による協議は解決につながりますか。

悪循環を断つため、まずは話し合いで問題解決をする合意がいる。具体的な話し合いは六カ国協議でいい。なぜ米国が応じないか疑問だ。北朝鮮は何とかして国家として生き延びたいと思っている。特にエネルギーの安定供給を求めている。

ー被爆国日本の外交に求められるものは。

米国と仲良くしていればすべてうまくいくという無責任な対応では、世界第二の経済大国の外交としてはお寒い限り。日本はその気になれば、米国に「殿、ご乱心を」と言える立場にある。日本が言えば説得力はすさまじい。戦争を回避したい中韓とスクラムを組み、北朝鮮との直接対話を求めれば米国も応じざるを得ない。米国も直言してくれる存在があるのは降伏だと気付くはずだ。核戦争につながりうる根本的な原因を取り除けば、北朝鮮を非核化に導ける。