お便りのご紹介

2005.11.08

以下の文章は、今日私がTさんに送ったメールです。Tさんのメールに対する返事ですので、Tさんのメールもそのまま載せます。放影研の客観的かつ科学的業績に敬意を表するとともに、私が感じた気持ちをそのまま記録に残しておきたいと思います。

T様

Tさんの意欲的な生活態度にはほとほと感心します。私が広島生活で早くも見失いかけていたことを思い起こさせていただきました。やはり好奇心って大事ですよね。私ももっとどん欲な好奇心を発揮しなければと感じています。小さなことですが、今夕まだ夕日のあるうちに帰宅でき、近くのコンビニに立ち寄った際、何種類ものビールを買い求める気持ちになりました。いつも買い求めるアサヒスーパードライではなく。何を言ってるんだと思われるかも知れませんね。でも、私にとっては何故かとても充実感を味わえる時間でした。こういう小さな好奇心も見失わないでいたいと思います。大きな好奇心だけではなく。

広島長崎に原爆を投下したアメリカが設立した研究機関を受け継いだ放射能影響研究所の設立30周年の行事が今日あり、私も参加しました。放影研の研究に協力した被爆者の方たちも招かれて多数参加されていました。この研究所は客観的に世界的な業績を上げているとのことですが、その業績は今日この催しに参加された被爆者の協力のたまものなのです。そういう人たちを前にして、加害者が被害者を対象にした研究成果によって放射能被害の実態を科学的に明らかにすることを強調する感覚に、私は何故か本当に割り切れない思いを味わいました。しかも、アメリカ政府と外務省北米局長からの祝辞が寄せられ、それが読み上げられるのです。その時、Tさんのメールが何故か思い起こされました。なぜだか私にも分かりません。理不尽なことを材料にして極めて合理的かつ客観的な科学的実証研究が行われるということに対する「何故?」という気持ちのほとばしりだったのかもしれません。

(Tさんのメール)

> ミクちゃんとは、楽しい連休をお過ごしになられましたか。
> 私は、日本うたごえ祭典で3日から6日まで広島に滞在していました。その間,原爆資料館、生口島の平山郁夫美術館、宮島、尾道などに行ってみました。美術館は以前から行きたいと思っていたので良かったです。三原港から小船?にのって30分、ここは、先生の故郷なのです.絵ごころが全くない私ですが、先生の絵を見ると何か哲学を感じるというか、新鮮な気持ちになるのです。先生は、被爆者で爆心地から3キロの所にいたそうですね。それを売り物にしないで、旅行社もいぶかる時代にシルクロードを旅して100回以上になるそうなのです。そして、本を読んで今回分かったことは,(どうでもいいことですが)わたしと平山先生のご長男は、同い年で誕生日が2日しか違っていなかったということです。そのご長男は、京大を出て今は学者をされているようですが、小学校に入学するまでは、諸事情により生口島ですごされたそうです。平山先生夫妻もご結婚のころは6畳一間で原爆症と闘い、画材を買うお金もままならなかったということで、ずいぶん苦労されたそうです。そして海外で積極的に個展を開かれたり、世界遺産を守る活動を行ったり、私が、広島に行く前日にも、ニュースで先生が中国の要人と会い、小泉首相の靖国神社参拝に関わらず、文化交流を進めよう、しかし、中国も、日本が中国で行った良い活動も国民に知らせて欲しいと要望したと聞きました。なんとすばらしことでしょう。
>  広島は、3度目でしたが、あらためて大きな街だなあと感じました。地方都市では最大規模ではないでしょうか。沢山の外国人や修学旅行生が資料館を見学していました。みんなの心の中に平和へのおもいが芽生えるといいなと思います。