第9ステージ(2020/6/7-6/9)


第36日(2020/6/7) 再び宇和島、41番の龍光寺、そしてまた宇和島

相変わらず新型コロナの報道は続くが、非常事態宣言は解除され大阪での制限も解除しつつある。
そんな中、四国では梅雨入りをつげている。近畿はまだのようだが近そうだ。行くなら今かもしれない。
雨なら帰ってくればいい。その点、雨でも通しで歩いている人は、すごいなと思う。
この機会を逃すと、酷暑、台風、長雨・・・で10月になりそうだ。
年々、足の衰えもくる。あせりにも似た気持ちがある。

新幹線、予讃線の特急「しおかぜ」、松山で特急「宇和海」とガラガラの列車を乗り継いで宇和島は、正午前。
まずは昼飯はと歩いていたら、すぐに弁当屋さんがあったが中でも食べることができるようだ。
鯵フライ定食を注文、量も種類も多いが、塩分がきいている。お遍路で汗をかくことを考えてくれているのだろう。

宇和島の街の中を北に行く、コースとしてはJR予土線沿いに歩く。

山に入っていくのだろう、道は上がっていくのがわかる。



マスクをして歩いていたが暑くてむれる。上りの道は息も切れる。
考えてみれば、まわりに人もなく三密どころか三過疎、マスクを外して歩くことにした。
外すとほっとした、なんだこの涼しさは。

途中のお遍路小屋で休憩。

この小屋で休みながら、今日のお宿を探すことにする。
下調べでは、評価の高い民宿があったのだが、電話をして出ない。
違う宿にも電話をしても出ない。どうしたのかな?
とりあえず歩いて、もう一度電話してみようか。

JR予土線の務田駅から北に農道を歩いて41番の札所の龍光寺についた。
駅から10kmぐらい、



































境内は閑散として、二人か三人くらい。
歩きのお遍路さんはだれもいないようだ。

あらためて宿探しの電話したら、コロナで休業しているようだ。
詳しく聞いてみると、このあたりはみんな同じらしい。

あるいは泊めるのに「ためらい」があるのだろうか。
泊まるところが無ければどうする、この方法しかない。宇和島にもどるのだ。
近くのJRの駅、務田駅まで戻りJRで宇和島駅にもどり、駅前のホテルに泊まればいいのだ。
ネットで探すと、駅から一分の宇和島ターミナルホテルがヒットした、値段も安い。

務田(むでん)駅まで1.6kmを戻ると、行ったあと一時間以上まつ。
駅近のコンビニで角のハイボール飲んで、ゆっくりと列車がきた。。

山肌を右に左にゆっくりとしたスピードで宇和島駅、ホテルにチェックイン。
フロントの親切なおねえさんに、お接待のキャンディーセットをもらった。

教えてもらった居酒屋、ウツボが水槽にいた。



ウツボのたたきをいただく。
高知でも食べたが、美味しい。

つい飲みすぎてしまった。

写真のウツボだが、よく見るとかわいい。
この水槽には、ウツボのほかにイセエビ、ワタリガニが同居なのだが、カニが動きまわる。
ウツボは顔を踏まれても、じっと耐えてるのを見るといじらしく思えてくる。
そのウツボを食べているのだから、カニよりも悪いのは人間だろう。




第37日(2020/6/8) 今日のお仕事は歯長峠、札所は42番仏木寺、43番明石寺、三度の宇和島

ホテルの人に聞いたら、民宿、旅館、ホテルなどに県から要請が来ているとの事だった。
「新型コロナの対策を万全に」との事だそうだ。

ホテルならトイレ、風呂は各部屋設置だと対策も容易かもしれないが、共同の風呂、トイレだと対策は難しいだろう。
歩きのお遍路は年々少なくなっているうえに、経営者の高齢化も考えれば廃業するところも多いだろう。
今までに利用した遍路宿も廃業したところも耳にする、また泊まったところでも「やめようと思う」を聞いてきた。
新型コロナが、その背中を押す可能性は高いと思う。


4時半にセットしたアラームで起きた。どうしてこんなに早起きしたのか?
ホテルの近くに朝の五時から開くうどん屋があるとのこと、美味しいらしい。
名古屋の友達から教えてもらった情報、ありがとうございます。

場所はネットで調べていたからすぐにわかったが、ただの民家である。。
戸が開いていて、カウンターに七味がある。
店の前のおばちゃんに「ここがうどん屋さんですか」と聞いた。

店の名前は「やまこうどん」。メニューは一つ「うどん」だけ。






天ぷら、じゃこ天、かまぼことネギのうどん、380円。
麺は柔らかめのうどんで関西風、出汁もおいしい、具もおいしい。

先にいた客は鉢を調理場の流しまでもっていっていた
あとから来た、小さい女の子をつれてきた人は、子どもと一緒に調理場でうどんを作っている。

これは宇和島だから、できるんだろうな。
東京やら大阪の店で同じ事をしたら、衛生やらなんやら言う人が出てくるのだろう。
うどんを食べ終わってホテルに。少し足りないかもと、コンビニでバナナ。

予土線の7時過ぎの列車に乗り込むと高校生がいっぱい、お遍路は私一人。
JR予土線で務田(むでん)駅まで20分くらい。



今日も晴れで暑くなりそうだ。
龍光寺の手前で左に道を取り、42番の仏木寺をめざす。
途中の道で、サボテンが生えているのが見えた。
アスファルトの隙間から生えているサボテン、どこから来たのだろう。

42番の札所の仏木寺はすぐに着いた。道路沿いにあった。






















ここでも歩きのお遍路さんはいない。
ここから北に道をとるが、難関は歯長(はなが)峠。
県道を行けばトンネルなのだが、ここはお遍路道を行く。



県道との分岐からお遍路道。

最初は舗装路だったが。












山道に入ると看板が。










途中で道が崩落しているとのことだったが、最新の情報では通れるようになっていると、仏木寺で聞いていた。
ならば、この看板を建てた当事者は訂正を出すべきではないだろうかと思う。

この看板は善意で建てられたものと思うが、建てた当事者の名前、日時、連絡先がない。
たぶん宇和島市が建てたものと思うが、復旧したとの情報が入れば撤去なり文章を改める必要がある。
なぜなら今後この看板を見たら、真実であっても「また古い情報か」と信用されなくなってしまうのではないか。


上の写真の「安全+第一」の間が崩落区間で、右上が迂回路となっている。


歯長峠の由来は、この地の豪傑の歯長又太郎の名前とされている。
歯の長さが一寸、3cmくらいあったそうだ。

ここからシダの群落を通って、舗装路にでた。









11時半ごろにお遍路休憩所で昼飯。おにぎりとバナナ、6Pチーズ、キャンディ。
















集落を通る道を進む。
明石寺への道はけっこう難しい、真っすぐに行く道がなくあっち行ったりこっち行ったり。
高台にあるお寺、疲れた足にはこたえる。





















やっと札所に着きました。

いっこうにうまくならないお経や真言をあげて失礼とは思うのだが、
なんせ物覚えが悪い。

納経所の方に宿泊情報を聞いてみた。
ビジネスホテル以外は開いていないだろうとのことだった。
・・・江戸時代からの漬物のぬか床を持つ松屋旅館に泊まりたかったが、まだ閉めていると電話で聞いた。

かくなれば、また宇和島のビジネスホテルしか手はない。
スマホで予約をして、少しでも前に行こうと上宇和駅まで行こう。
上宇和駅から北に行けば、JRと離れてしまうから、ここが限界。

寺の裏から上宇和駅の道、地道の遊歩道となっている。


舗装路に出て、国道とつかず離れずの道を行くと卯之町(うのまち)。
古い町並みがあって、なかなか趣がある。

かつては街道で栄えたに違いないだろう。

やがて上宇和駅に着きました。













駅に着いたら10分くらいで、列車がきました。

宇和島までの距離があるのと、行き違いの待ち合わせがあるせいか一時間くらいかかりました。











走っている時はディーゼルカーらしく音をたてて走ります。
誰もいない車内で窓をあけて風を受ければ、気持ちがいい。

またまた宇和島駅、フロントのおねえさんの笑顔に迎えられてチェックイン。

違う居酒屋で飲みに行きました。
飲みすぎかもしれない。

第38日(2020/6/9) 鳥坂峠をこえて大洲、内子に、今回はこれにて帰ります

今日も駅前の宇和島ターミナルホテル、朝うどんに行こうとアラームして起きたけれど二度寝してしまった。
宇和島駅から上宇和駅の列車は予讃線で7時前、うどんを食べる時間がなくなってしまった。
上宇和駅には7時40分、今日のお仕事は鳥坂峠。

天気予報では、晴れは今日までで今夜から雨、強い雨と。
近畿地方でも梅雨入りらしい。

晴れていれば、久万高原町の44番の札所の大寶寺、その次の岩屋寺に行けたらいいが、山の中のようなので雨は、嫌だ。
ただ少しでも近づいておいて、かつJRの駅までは行きたい、そう内子駅。
山道を越えて30km以上の行程は、しんどそうだけどがんばりましょう。

国道56号を行くのだけど、集落を迂回しているので集落の中の道を行く、そのほうが歩きやすい。
田んぼの中の道あり、旧街道の街並みの中を歩いたり楽しい。



国道とお遍路道の分岐にきた。




















鳥坂トンネルの長さ(L=1117m)歩道狭しと書いてある上に、そこを歩けば時間はこれこれと書いてある。
峠道(へんろ道)は、長くて時間が倍以上かかると。
この表示は親切だと思う。
排気ガスで歩道が狭いけれど25分、峠道できつくて長くて60分、あなたはどちらにする?と問うてるのだ。
どちらを選んでも、あなたの勝手、好きなほうをどうぞと。こういうのはいいですね。

お遍路道を選択する。最初は舗装路だけど鳥坂番所から地道になる。
かつては宇和島街道の要衝であったらしく、荷物のあらためなどきびしかったらしい。ただお遍路さんは、ゆるやかだったとのことだ。















歩きやすい地道が続くが、たまに歩いた人がいないのか草だらけもある。


鳥坂峠に到着したのは、10時半くらい、ここで最初の昼飯。

コンビニおにぎり、チーズ、キャンディに非常食のスルメ、だし昆布。








次の大寶寺までは、58kmと。


下りの途中に日天月天様という祠がある。御神体は丸い石のようだ。






林道へ出ると、椎茸の榾木が延々と積み上げてある。
原木栽培だから、高値で売れるんだろうなと思いながら歩いていると












荒れた大師堂にきた。
札掛大師堂という、ここでひと休み。
すると腹具合が悪くなってきた。トイレに行きたくなった。
まさかあれた大師堂の中でするわけにもいかず、先を急ごう。
こういうときに道を間違えてしまった。
ラーメン屋が地図にあったので、そこに行こうとしたら店は閉まっている。
道路工事中で人は多い、最悪や。

しかし世の中捨てたものではない。
国道横に休憩所があり、きれいな洋式トイレがある、助かった。

大洲の街に入ってきた、渡ったのは肱川。鵜飼の遊覧船がある、今がシーズンなんだろうか。

予讃線の伊予大洲駅は近い、ここで打ち切れば楽だな暑いし・・・と天の声。
いやいや次を考えれば、内子駅のほうまで・・・。迷うなあ。

次回来る事を考えれば特急の停車駅がいい。そうなれば伊予大洲駅か内子駅。
数少ない普通列車しか止まらない駅は、次回に時間がかかる。
内子までは、あと16kmもあるしな・・・。

そんな時に自転車の前後にサイドバッグをつけたゆっくりと走るサイクリストが挨拶をしていった。
あれだけゆっくり走れるのもすごいなと思った。
お互い頑張りましょうと声をかけあった。あまりのゆっくりさに視界から消えるのにカーブを待たねばならなかった。ある意味すごい奴やな。

そんな事を考えていたら、腹が減ってきた。
暑さのせいか、冷やし中華が猛烈に食べたくなった。

国道沿いやしラーメン屋くらいあるやろと思ったが無い。
無いと思えば、無性に食べたくなる。
しかし店がない、焼肉屋はあるが、わざわざという気もする。

腹が減ってきて、もう歩くのも疲れたというときに台湾料理店があった、冷やし中華があるだろう。

店に入って注文したつもりが通ってなかった。
だいぶ時間がたってから、エースコックのワンタンメンを連想させる可愛い女の子が、
「注文はまだですか?」。えっ通ってなかった。あわてて冷やし中華を注文した。
美味しかったです。

これで充電されたのか、内子駅まで歩こうという気になった。

5時過ぎに内子駅に到着。

この地にお遍路ハウスという宿があって聞いたみたら、そろそろ開始しようかと返事をいただいた。
その宿の人は、私が駅に行ったらわざわざ「お遍路さ~ん」と呼んでいただいてお接待をいただいた。ありがとうございます。

内子駅は無人駅、さびしいので少し歩いてコンビニまで。

角のハイボールとカニカマを買って特急「宇和海」の中でいただきました。

その日のうちに家に帰りました。








次は秋になるか、酷暑の夏を歩くか?
次回は駅近のビジネスホテルの手は取れないので、宿の状況を見て考えたほうがいいようです。
そうか、44番、45番を後回しにして松山近くの46番を先に行ってしまうか迷うところです。

この三日間であるいたのは60kmぐらいでしょうか、初日10km、二日目20kmとまあまあのペースでした。


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