2004.8.7〜8     於 ていぱーく 
右 申請図
一葉は若干24歳で亡くなりましたので、写真は多くは残っていません。
でも、とても美しい人でした。

昨年、一葉が新しいお札の顔になる、初めての女性で、と話題になり、改めて一葉文学を読み返してみました。
しかしどれもこれも、暗く、とてもわたしが読みたいような小説ではありませんでした。もう、読み続けるのもやっと・・・でした。
でも、今回のメイン展示をなさる池澤氏にお聞きして人文書院から出ている「ひとひらの舟 樋口一葉の生涯」(三枝和子著)と言う本を読んでみると、一葉が若くして戸主になり、家を支えていくために、このような小説を書いていったこと・・・が段々と理解できるようになりました。
そして、小説そのものよりも、一葉の生き方、というものに心が惹かれるようになりました。

そして「サマーペックス'03」で、池澤克就氏の「樋口一葉の世界」を拝見しました。

10/1には台東竜泉局で一葉記念館と一葉が入った風景印が使用開始になりました。こちらの一葉の絵は一葉記念館で所蔵している羽石光志 画「一葉像」をモデルにしているようです。
このときに描いた絵は下の記念カードをご覧ください。
自分なりの一葉を作り上げていたようです。

さて、消印となると・・・。誰が見ても、一葉だと分からなくてはなりません。
レイアウト、文字は、漱石展と対をなすようにし、こちらの小物は?
「たけくらべ」で美登利が手にした水仙の花は?と言う池澤氏の提案ですぐに決まりました。

こちらも、昔のモノクロ写真は輪郭線がはっきりせず、髷なのか櫛なのか、髪の結い方は・・・?と難しいことばかり。若くして亡くなったので、しわも無く、表情の解釈も難しいです。

何度も下書きを繰り返し、本番に臨みました。眉をどこまで描くか、目の輪郭をどう省略するか、鼻は、口は・・・?
決めておいたつもりでも本番で解釈が変わってきたり・・・。
それでも、今の時点では、気に入った表情になりました。
・・・ひぃなっちゃんが見たら、なんと思われたでしょう?

実は、今回のテーマが「漱石と一葉」になるかも・・・と言う話をお聞きした時、ふたりの小型印を作るのなら、ぜひ絵を描かせて!と言ったのはわたしなのです。
せっかくの消印です、コンピュータ処理した輪郭をなぞっただけの絵ではなく、どうしても深みのある肉筆の絵でなくては、と思いました。・・・でも、描いていくうち、段々自分に描けるのだろうか? 多くの人を満足させられるような絵が描けるだろうか?とプレッシャーを感じるようになりました。
でも、描き上げてみて、今のところ満足しています。
実際の消印になったら・・・どう見えるでしょうか? 楽しみです。
                    2004.6.17記
著作権、肖像権・・・問題でなかなか難航していましたが、とうとう公示が降りました。   2004.7.24

台切手 近代日本美術シリーズ 鏑木清方原画「樋口一葉」
「たけくらべ」の終章、美登利は投げ入れられた水仙の造花をみつけます。
後に聞くところによると、その日の朝、信如が旅立ったと・・・。
学生時代に教科書で習った「たけくらべ」と現在読む「たけくらべ」のあまりの印象の違いに愕然としました。
なんと切なく、やるせなく、哀しい物語なのでしょう・・・。
現代でもまだまだ女性の地位は確立されていません。でもこの頃に比べたら・・・。
一葉がどのような思いで小説を紡いでいたのか・・・ 思いを馳せながら絵を描きました。
こちらの美登利は、まだ苦い現実を知る前の、元気いっぱいの少女です。一葉は花瓶に活けた水仙を見ながら、構想を練っています・・・。

切手と消印の拡大画像はこちら
ご参考まで・・・
台東竜泉局 風景印新規使用記念
2003.10.1
台切手 1981.11.27発行 近代美術シリーズ第11集 鏑木清方「一葉」
開局45周年に合わせ、すぐ近くの台東区立一葉記念館と樋口一葉を描いた風景印が使用開始になりました。一葉は明治5年生まれ、肺炎で24年の生涯を終えますが、明治26年7月から10ヶ月ほど竜泉寺町に暮らし、この地を舞台に「たけくらべ」を制作しました。 
来年、一葉が5000円札に登場するので、注目度もかなり上がっていますが、記念館は早々に建て替えとのこと、また図改されるのかな?とちょっと心配でないこともありませんが。
一葉記念館に行くと、あの時代にもかかわらず、一葉の写真は何枚もあることが分かりました。子どもの頃から大変な記憶力と理解力で、本を読むのが大好きだったが、母親が女性に学問は要らないと小学校しか行かせてもらえなかったため、隠れて暗い場所で本を読んでいて近眼になったそうだ。そのため肩こりがひどく、大変な頭痛もちだったそうです。時代が悪かったのですね・・・。
でも、どの写真を見ても、一葉はとても美貌です。
鏑木清方の絵(上の切手)も、羽石光志の絵(風景印)も、24歳で夭折した一葉にしては老け込んでいるし写真と似ているように見えません。
左の8円切手は少し顔が腫れぼったいような・・・?
戸主として家族を養うのに大変な苦労をしていたとは言え、世間知らずでもなく、世の中を深く見つめ、恋もした一葉・・・ひたむきな表情で描きたいと思いました。いつのまにか、自分の作り上げた一葉の姿を描いているようで、写真とは似てはいないかもしれません。
招待券は井上和幸氏のデザイン。
近県の郵便局に送付されました。



ていぱーくの大きな看板は「招待券」のデザインで、驚きました。嬉しかったです。


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