2004.8.7〜8     於 ていぱーく 
右 申請図
今年は、漱石が「吾輩は猫である」を発表してから100年の記念の年にあたるそうです。また1000円札の漱石が消える年でもあります。

夏目漱石像にはこどもの時から親しんできましたが、絵を描くとなると・・・?

実は昨年12/17、神田北神保町局の風景印使用開始のときに、ちょっと遊んだ絵を描いてみた。(下のカードをご覧ください)
でも、個人的に描く絵と、誰が見ても「漱石展」だと分かるように描く肖像では訳が違う。
モデルはどの写真にしようか・・・?
と、一昨年のJAPEXでも、漱石の小型印が使用されたので、他の写真がよいでしょうとのアドバイスをいただき、初めてそう言うものがあったと気付く・・・。(^_^.)
比べられるのは辛いですよね。(^_^.)
コンピュータグラフィックスで機械処理した肖像ではなく、肉筆の血の通った、肖像が欲しい、と生意気なことを考えていましたが、段々プレッシャーが・・・。(^_^.)

因みに、この漱石はわたしが持っている本に出ていた写真をモデルにしたが、20世紀デザイン切手シリーズの耳紙に登場した肘を突いている漱石は「考えている漱石」でこちらは「考えていない漱石」らしいです・・・。(^_^.)

ただ、肖像だけではつまらないので、小道具として「猫」を入れることにしました。「吾輩は猫である」に出て来る猫は斑ですが、漱石が実際に飼っていたのは、描いていた絵から、黒猫であるようです。この猫は、その漱石の絵をモデルにしました。元の写真が、猫を抱いている漱石、ではなくて、この位置に配してみたのです。

線だけで人の顔を描くのは難しく、それも、モデルが目の前に居ればよいのですが、昔のモノクロ写真は、実際どの位置が輪郭なのか、陰なのかよく分からず、苦労しました。
表情がよく描けたかと思うと、スーツの線がおかしかったり、何度も何度も描き直しました。(^_^.)

漱石と一葉を対にするため、できれば、向かい合う写真があればよかったのですが、それもなく、同じ形にまとめることにし、日本文学であるので、題名を縦書きにし、適度な行書体にしてみました。
ただ、日替わりになるか、日替わりだと、毎日来られない人には気の毒だが、3つの消印が認められるかどうか、その場合、題名が長くなる? など、いろいろ論議されました。まだ、申請どおりになるかどうかは分かっていません。
                            2004.6.17記
著作権、肖像権・・・問題でなかなか難航していましたが、とうとう公示が降りました。   2004.7.24

台切手 近代日本美術シリーズ 菱田春草原画「黒猫」
漱石は掛け軸に猫の絵を残しているのが有名です。それによると、「吾輩は猫である」とは違い、黒猫だったことが分かります。
消印では手前に猫を配しただけですが、絵ではいかにも抱っこしているように・・・してみました。
漱石の肖像は、やはり大変難しかったです・・・。

切手と消印の拡大画像はこちら
ご参考まで・・・
神田北神保町局 風景印使用開始記念
台切手 1999.8.23発行 20世紀デザイン切手シリーズ 第1集より 夏目漱石「吾輩は猫である」「坊ちゃん」
風景印意匠は千代田区立お茶の水小学校にある夏目漱石作「吾輩は猫である」の石碑と本を描く。
右は「開局100周年」記念
小型印。意匠は明治39年頃使用されていた日付印を描く。
近くにあるお茶の水小学校(当時は錦華小学校」)に漱石が11歳の頃通学したので、碑がある。
テーマがおもしろいのでぜひ絵を描きたくなった。(^.^)
「吾輩は猫である」は小5のときのクリスマスプレゼントで、ポプラ社の「新日本少年少女文学全集」が今も手元にある。後に買った文庫本は紙が焼け、文字も小さくてとても読む気になれず、大半は処分してしまったが、この本は、年少の親戚の子にあげなさい、と言われてもどうしても手放せなかった。他に「シートンの動物記」もほんとうは手放したくなかったのだが・・・。こちらは甥に受け継がれているようなのでありがたいことでしょう。(^^ゞ
さて、漱石の本は、学生時代にほぼ読了したが、ほんとうは理解はしていなかったと思う。(^_^.) それぞれに印象に残っている部分はあるが、人生経験ですよね・・・。
今回、絵を描くに当たって「猫」を部分的に読み返してみた。「吾輩」は
ペルシァ産の猫のごとく黄をふくめる淡灰色にうるしのごとき斑入りのひふを有している。・・と言う記述があり、主人に似てやせている・・・。主人、くしゃみ先生は、漱石がモデルでもあり、胃弱でカイゼル髭を生やし、教師で、勉強家らしく見せているが、実は書斎で読みかけの本によだれをたらしながら居眠りをしている・・・。
漱石の絵は早稲田南町の漱石山房の書斎での写真を参考に、カイゼル髭に変え、居眠りをしている図にした。「吾輩」は縁側でまどろみながらも、片目を開けて世間の様子を覗っている・・・。
切手は10連刷に1枚の切手で、こんなことが起ころうとは思っていませんでしたから大変でした。(^_^.)
局長へ記念に1部差し上げてきましたが、とても喜んでいただいたようです。(^.^)
他には、赤いポストの上で寝ている猫の切手も使いました。
合わせて、12/19の日記もご覧ください。
招待券は井上和幸氏のデザイン。
近県の郵便局に送付されました。



ていぱーくの大きな看板は「招待券」のデザインで、驚きました。嬉しかったです。(^v^)


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