6BQ5UL RL=2K ロ−ドライン
UL接続で使用する場合、大多数の出力管ではUL時の特性図が公表されておらず、設計時に困惑します。
どうもULの特性図は、6550/KT88以外、出されていないんじゃないかと思います。
仕方がありませんので、計算上でULの動作をスクリーングリッドのパラメーターからコントロールグリッドへ転換して、G1=0Vのおおよそのラインを引いてみました。( 青い線です )
また大まかな見当ですが、G1UL=−5V、+5〜15Vも加えてみました。したがって上図は完全な私の創作物でまったく正式、正確なものではありません。 (つまりいい加減です。m^^m)
ロードラインですが本来は6BQ5アイドリング時の動作点 300V/25mA(Ec=−12V、B1級)に交わるようとりあえず2KΩのロードラインを引きます。このあたりは最大定格の範囲内でAB1〜B1級として動作クラスを選びます。
上図では出力を求める為に、実際のアイドリング位置から0mAへオフセットさせて2KΩのロードラインをひいています。ロ−ドラインは、横軸300Vから縦軸150mAへ
(300V÷0.15A=2KΩ)の斜め線を引きます。これが2KΩのロードラインです。
最大出力を求める場合はトライオードなら、この3角形の内側の面積を求めればいいわけです。ペントードですとアイドリング分オフセットさせないと都合が悪いんですがULなので、ちょっとずるしています。
この場合の最大出力は上記特性図上で2KΩのロードラインと、Ec=0VおよびEp=300Vでつくる各々の交点の電流値と電圧値からAB1UL時
Pomax(UL)={(300V−100)×(110mA−0mA)}÷2×0.95=約10W
OPTのロスも換算しますと 10×0.9=9Wとなります。 これにスクリーングリッドからの合成出力も勘案しても10W程度がAB1UL時の出力となります。実測してみますと9Wを超えるあたりからグリッド電流が流れます。
ちなみに同図でペントード時8KΩのロードラインで引くと
Pomax(5)={(300V−30)×(135mA−0mA)}÷2×0.95=17.5W
と、ほぼ規格表通りになります。
OPTのロスも換算しますと 17.5×0.9=15.7Wであり、一般に6BQ5をペントードで使用した場合、AB1級 15Wが最大出力とうたっている訳です。ペントードからUL接続にすると出力が約60〜70パーセント、10W前後となり、かなりの出力低下となってしまいます。
UL 43%タップの場合の代表的な動作状況を説明する際には、武末先生のパワーアンプの設計(上)p103_第2.59図 ”6BQ5シングルUL接続の特性”が引用され、( シングルの場合の図ですが )出力の低下は約15%とされる場合が多いのですが、実際は30%以上あり、ULにした際は、おおむね65%と考えてよいと思います。
実際例として直近では、”管球王国NO.13 上杉氏6BQ5ppTAP10”で10.8W(最大出力時320V前後と推定)とされています。出力特性図からすると、もうすこしでているようですが。
私自身過去6L6や6V6をULにした際、40%ほど出力が低下してしまい、ULからKNFBへ変更した思い出があります。
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