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1.概要

2004/06/01

  

 

半導体ドライブ全段直結シリーズ
  6BQ5/EL84
 B
2級 ULpp 15W*2


 6BQ5/EL84は、6CA7とともに戦後のオーディオ用出力管としては最も著名な出力管でした。1950年代中期から20年余りに渡って沢山のオーディオファンに愛されました。

 6BQ5はAB級UL結線では10W程度の出力ですが、今回は半導体エミッタフォロアでB級までドライブし、15Wクラスのアンプとして現代のスピーカーでも十分鳴らせるように計画しました。 
  本来、6BQ5は感度が高いので、アルテック型+多極管接続で設計するのが普通です。コンパクト、シンプルに作った方が合理的なわけでB級は武末先生以外目にしたことがありません。

  


 6BQ5:UL接続のデーターは真空管メーカーから、ほとんど発表されていません。特にEp−Ip動作曲線が見当たりません。下記に種種の規格表から抜粋したデーターをまとめました。
  Ep Ec2 RLp-p Pd Output
6BQ5 300V 300V 8KΩ 12W 17W
6BQ5:UL 300V 300V 8KΩ 12W 11W
7189 400V 300V 8KΩ 12W 24W
7189:UL 375V 375V 11KΩ 12W 16.5W
7189A 400V(440v) 300V(400V) 8KΩ 13.2W 24W

 上記6BQ5:ULのデーターは 1957/9 STCのデーターです。
 実効Outputは2次側8Ωを使う場合、おおむね Output×90%位です。
 7189Aで、プレート電圧を400Vにした場合、スクリーン電圧がプレートより100Vも低く、しかもレギュレートさせないと所定の出力が得られませんので、24W×0.9を得るのは当時では至難の業でしょう。しかしUL結線でB2にすると7189/375Vで16.5×1.5=25W程度得ることができますので、大変現実的になってきます。
 実はやってみたんですが、さすがに発熱が激しく、6BQ5:UL 25Wの空冷はシャーシーを一回り大きくし、チムニー式にしないと持ちそうにありませんでした。製作においては実装や放熱が大変です。

 * ( )内最大定格
 * STC = Standard Telephones and Cables = 英国大手電気通信会社
 * UL(=Ultra Linear Amp.)はペントードのスクリーングリッドを出力トランスの約40%タップから給電し、終段管内で内部帰還をかけた回路で、ウイリアムソン回路と並んで最も著名な回路方式です。 1951/11 Audio Engineering誌 に D.ハウラ−、H.ケローズ(アクロサウンズ社)が発表したものです。
 原点は6L6で37%巻き線比です。タップ位置はメーカによって特色があり、ラックスは40%のもあります。タンゴはほとんど43%のようです。 (UL記事引用  1968/9 初歩のラジオ 斎藤醇爾氏 、ラックス)

 

    これまでは製作価格や大きさなどの制約で現実的ではなかったB2級差動構成ですが、前段を半導体にすると、実用的な選択になりえます。UL結線でも、6BQ5が持つ本来のポテンシャルを最大限に出せるよう挑戦してみようと思います。
  

   左 塗装後、組み立て直前のフロント側 右 背面側