ロッホ・ローモンド

フィオナが唄う
唄っている スコットランド民謡
「ロッホ・ローモンド」
この歌を知ったのは
何時のことだったろう

遥かに遠い昔
少年の頃 柔らかい心に
深く滲みた この歌
メロディーも歌詞も
記憶の底に定着して

スコットランドへの憧れは
何時芽生えたのだろう
この歌がきっかけか
かつて学んだ英文学のせいか
それとも遠い血のざわめきか

思っていれば いつしかに
事は成る、との信条が
ここでも やはり違うことなく
見事にその実を示して
ついに訪れたスコットランド

陽気で楽しいエディンバラの夜
スコテイッシュナイト
奏でるバグパイプ、娘たちの踊り
そして妖艶なフィオナが唄う
あの「ロッホ・ローモンド」

初めて聴く 完璧な
あの歌「ロッホ・ローモンド」
これを聴くためだけでも
地球を半周してこの地へ
やって来た甲斐がある

ワインの香り 鮮やかな
タータンチェック・キルトの色
古都の夜は更けて
思いは北のロッホへ
幻の湖へと馳せる

そして−
ウェヴァリー驛の数多のプラットホーム
快速列車で行くグラスゴーへの一時間
さらに、ローカル鉄道の旅
ついに終着駅バロッホ

ようやく
とうとうやって来た
ぼくらのロッホ・ローモンド
長い時間をかけて思いを醸した
北の国の湖

静かな湖上から観る
古い城 館のいろいろ
蒼い斜面の上に建つ
明かりの灯る
城に心惹かれ

あなたと共にたどる
「Bonny,Bonny Banks」(美しい素敵な岸辺)
あの歌詞のままに
「君は上を ぼくは下を 共に行く
 スコットランド ふるさと·····」

共に行く スコットランド
あなたとたどるボニーバンクス
ロッホをスケッチし 白鳥と戯れ
蒼い丘を上って
古城に着けば

ドレッシング・キルトの花婿に
白いドレスの花嫁たち
二組の新郎新婦は
バロッホ城から
旅に出る

ぼくたちはすでに
旅の途上 三十三年を経て
ここにある。
遥々と来たりしもの
さらに なお遠くへ行きたい

彼らと共に
旅立とう
再び 新しい旅へ
遥かに遠く
奥深く

あなたと共に

1999.8.25

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