山岳巡礼

めぐり来し 夏の日の
夢はるか
裂けし火の山の 荒き岩壁に
こもれるわが思い 君知るや
その深きあこがれを

ふりあおぐ 高みはるか
聳えたつ猛き山
ともに眺めし
遠き秋の日の 思い出ぞ
あざやかに

はろばろと たどり来る
道程のいつしかに 重なりて
山路ゆくふたり
今日もまた

あれは吾妻
乱雲の下 雷鳴のとどろける
苦難のとき 越え来たり
いまは蒼穹の
磐梯山頂に立つ

そのかみの日 燃えし山
噴火の雄たけびの
聞こゆ心地
まざまざと迫りくる 銅沼の
すさまじき美しさ

きわまれる美の姿
ともに見しゆえに
永遠に結ばれんと
人のいう ことばそのままに
五色の沼、爽涼の風渡り
八年の日のすぎて
ここにある喜びぞ

いざや
出発
(たびだ)たん
新しき旅へ
いつの日か
三度訪れんと
熱き思い 深く秘めて

1974.8.25

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