「はじめに」から引用する。
(前略)以前から、必至の分野で詰将棋の一手詰めに似たやさしい問題が少ないと感じていました。 終盤は詰めと必至の、両方の感性が大事な気がします。それにプラスして、泥試合向きのタフさがあれば申し分なしです。(後略)
必至(必死)は難しい。一手必至であっても、実質は三手詰以上の読みが必要とされる。一手必至は、(1手めに)詰方が王手でないある手を指して、次に玉方が(2手めに)どんな手を指したとしても、 詰方が(3手め以降)王手の連続で玉を詰まさなければならないからだ。ここで注意したいのは、3手め以降と書いたことであり、3手めで詰み、の状態ではないことだ。 つまり、王手の連続で以降は1手詰、3手詰、5手詰、……以降の詰め筋がありうるのだ。
なお、「はじめに」の泥試合
は、正式には「泥仕合」と書くようだ。
p.5 に「★一手詰め特有の例題」が掲載されている。図面と解説を引用する。
例題の解答
☗3一飛まで一手詰
問題図で☗3一飛に☖2一合は☗同桂成で駒余り三手詰めの変化となります。
よって正解は☗3一飛までの一手詰めとなります。
この例題を見て、これが、「若島正:盤上のフロンティア」で言及されていたことか、とわかった。 このような問題は、一手詰め特有の例題というよりは、著者が定める一手詰め特有の例題、とするのがいいような気がする。
一手必至は一手詰めに比べて格段に難しい。たとえば、p.115 の次の 16 番を見てみよう。
最初にこの図面を見たとき、候補は☗2六桂か☗1五歩だろうと考えた。そして、☗1五歩では☖2二桂と受けられて手が続かないから☗2六桂だろうと予想した。
ところが p.117 の解答を見てみると☗1五歩が正答だった。☗1五歩に☖2二桂と受ければ☗1四金が好手で、☖同桂に☗2五桂で詰む。一方、☗2六桂では、☖3六角(より遠くも可)と受けられる。
☗1四金は☖同角で王手が続かないし、☗1四歩は打ち歩詰めの禁手のため打てない。☖3六角に☗同龍は☖同桂で切れる。そうなのか。
同じページにある 17 番はどうか。
☗2六桂は☖同龍で王手が続かない。☗1四桂や☗3四桂、☗3五桂は詰めろではあるが、必至という気がしない。答を見たら☗2四桂だった。なるほど。
☖2四同歩なら☗3三龍☖2三合☗2四金でよい。では攻め方の持ち駒の歩はどういう役割なのだろう、と考えていたら、
☗2四桂に対する☖2二金など、2二に駒を打って受ける手に対する手順にあった。
すなわち、☖2二金に☗1二桂成☖同玉に対して☗1三歩が効くことにある。☖同玉はもちろん☗1四香だし、☖1一玉なら☗1二香以下詰み。ただし、☖2二桂ならばすぐに☗1四歩と打つ。
☖同桂に☗1二龍または☗1二桂成まで。
p.122 の 39 番をみてみよう。
多くの駒が密集していて考えるのが難儀だ。ただ、解答の☗1三金を見つけるのは容易だと思う。放置すれば☗2二金または☗2二飛成で詰む。
そこで☖1三同歩とすれば、☗2二飛成☖同玉☗3二金☖1二玉☗2一角まで。☖1三同銀ならばやはり☗2二飛成で☖同玉でも☖同銀でも☗3二金まで。
☖1三同角でも☗2二飛成と空成すれば☖同玉でも☖同角でも☗3二金まで。すると☗1三金で進退窮まったかに見えるが、☖3三龍と引く手がある。
こうすると、少なくとも後手玉に即詰はない。だから本問題は3手必至とするのがよいと思う。☖3三龍に関しては☗3三同飛成で今度こそ必至である。
p.129 の「考えどころ」がトドメは金の形を相定する
とあるが、正しくは、《トドメは金の形を想定する》だろう。
盤面作成には、局面図をWebで作成(sfenreader.appspot.com) を用いている。作者の shibacho2 氏に感謝する。
| 書名 | 一手詰め・一手必至 |
| 著者 | 森信雄 |
| 発行日 | 2002 年 6 月 10 日 第1版第1刷 |
| 発行所 | 創元社 |
| 定価 | 1200 円(本体) |
| サイズ | A5版 |
| ISBN | 4-422-75092-5 |
| その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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