概要
「まえがき」から引用する。
(前略)本書は,これまでの統計学の書物の欠点を補い,調理法と同じく,コンピュータさえあれば, (1)まず解析ができる,
(2)さらによい解析をするためのヒントがある, の 2 点を考えた構成になっている.そのため,専用の統計ソフトではなく,多くの人が利用可能である表計算ソフト EXCEL を用いることにした.(後略)
感想
私は金がないので、有償の EXCEL を使うことができない。そこで、フリーソフトの LibreOffice の表計算を行なう calc で、本書と同じことができるかどうか調べてみた。 本書の Excel について、バージョンは不明である。私が使っている LibreOffice のバージョンは 24.2.7.2 である。
実際例 1.1.1 について、p.18 では次のように記述されている。
EXCEL の「ツール」メニューから「分析ツール」を選択し,「基本統計量」の「統計情報」ならびに「平均の信頼区間の出力」(95%)をクリックして計算したところ出力は表 1.1.2 のようであった.(後略)
LibreOffice の calc を使うとどうなるか。
calc の「データ」メニューから「統計...」を選択し,「基本統計量」のパネルで、データの入力範囲・結果貼り付け先を入力し、データ方向の列/行を選択する (本書のように横並びに入力したならば「行」を選択)。すると出力は次のようになった。
| 平均 | 158.3 |
| 標準誤差 | 2.01687326765411 |
| モード | 152 |
| 中央値 | 156 |
| 第1四分位点 | 153.25 |
| 第3四分位点 | 164.25 |
| 分散 | 40.6777777777778 |
| 標準偏差 | 6.3779132776934 |
| 尖度 | -1.38009766676981 |
| 歪度 | 0.682690093769587 |
| 範囲 | 16 |
| 最小 | 152 |
| 最大 | 168 |
| 合計 | 1583 |
| 回数 | 10 |
これと EXCEL における基本統計量と比べる。EXCEL にあって calc にないのは信頼区間(95.0%)である。一方、calc にあって EXCEL にないのは、第1四分位点と第3四分位点である。
実際例 2.2.1 について、p.38 では次のように記述されている。
EXCEL の「分析ツール」の「t 検定:等分散を仮定した2標本による検定」を適用した結果は表 2.2.2 のようである.(後略)
LibreOffice の calc を使うとどうなるか。
calc の「データ」メニューから「統計...」を選択すると,「対応のある t 検定」はあるが、(対応のない)t 検定はない。残念である。 しかし、本書 p.34 以降で展開されている 2.2 節の「2標本 t 検定」の項を読むと、EXCEL の関数である TINV や TDIST を用いた方法が説明されている。 Libreoffice でも TINV や TDIST 関数があるので計算はできる。しかし、TDIST の値が本書で解説されている値とはかなり違う。
本書p.36 による EXCEL の計算値は、TDIST(1.5, 10, 2) = 0.184, TDIST(1.5, 10, 1) = 0.092 である。一方、libreoffice では、TDIST(1.5, 10, 2) = 0.1645..., TDIST(1.5, 10, 1) = 0.0822... である。 理由はわからない。
なお、2群の検定においてはp.37 にあるとおり、両群間での等分散性もチェックしなくてはならない.(中略)不等分散の場合には,等分散を仮定しない検定(ウェルチ(Welch)の検定)を適用することになるが(後略)
とある通りだ。最近は2群の等分散性のチェックを省いていきなりウェルチ検定に持ち込むということもあると聞いているが、私はよく知らない。
書誌情報
| 書名 | 統計的データ解析のレシピ |
| 著者 | 岩崎学 |
| 発行日 | 2000 年 10 月 15 日 第1版第1刷 |
| 発行元 | 日本評論社 |
| 定価 | 2300 円(税別) |
| サイズ | A5 版 |
| ISBN | 4-535-78325-X |
| NDC | 417 |
| 備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |