松本哲夫[編著]:Excel による実験計画法

作成日 : 2024-12-19
最終更新日:

概要

「まえがき」から引用する。

(前略)本書は,研究者,技術者をはじめとして,工程管理,品質管理,品質保証,マーケティングなど「ものづくり」に携わる実務家に, 実際の現場で役立ててもらうことを目的として執筆した.(後略)

感想

わたしは隠居しているので、本書が想定している読者ではない可能性が高い。

次は p.59 の本文である。

表 4.3 に示したデータの構造を展開したものをもとに,後述する式 (4.1.11) ~ 式 (4.1.13) のように平方和を計算できる.(中略)参考までに, 処理効果の平方和 `S_A` を例に,従来法(修正項:`CT = T^2 // N`)をもちいた計算を示しておく1).(後略)

ここで脚注 1) を引用する。

従来より,平方和の計算においては,手計算に便利なように修正項 `CT` を用いて平方和を計算する方法がとられている. 近年,コンピュータ,ならびに,そのソフトの発達に伴い,平方和の計算において `CT` を用いる必然性が薄れてきたので,本書では修正項を用いていない. 実務では,たいていの場合,要因効果,すなわち,平均値からの偏差に着目しているので `CT` への関心は薄いからである. しかし,稀に,データ全体の平均値に着目している場合があり,その折は `CT` に意味が出てくる.

わたしがうすうす思っていたことが、このようにはっきり書かれていて安心した。それにしても、修正項がなぜ `CT` なのだろうか。きっと、Correction Term の略なのだろう。

まとめると次のようになる。まず、水準数を `a`、各水準における繰り返し数が等しく `n` とする。 そして、`A_i` 水準の `j` 番目の個々のデータを `y_(ij) (i = 1, cdots, a, j = 1, cdots, n)` とする。 `A_i` 水準の合計と平均をそれぞれ `T_(i*)` 、`bary_(i*)` とする。また、全データの総計と総平均をそれぞれ `T`、`barbar y` とする。

本書で採用されている処理間平方和 `S_A` の計算は次のとおりである。

`S_A = n sum_(i=1)^a (bar y_(i*) - barbar y)^2`

修正項 `CT = T^2 // N` を用いた計算は、p.59 によれば次のとおりである。

`S_A =n sum_(i=1)^a bar y_(i*)^2 - CT = n sum_(i=1)^a bar y_(i*)^2 - T^2/N`

P 値を使用しない理由

本書 p.42 には Excel の分析ツールを使用するときの注意事項がある。このページの本文および脚注を見ると、Excel の分析ツールで「P-値」を使用しないことを推奨している。 理由を読んだが、すぐにはわからなかった。

書誌情報

書名 Excel による実験計画法
編者 松本哲夫
著者 松本哲夫・上田敦子・平野智也・山来寧志
発行日 2022 年 12 月 28 日 第1刷
発行元 日科技連出版社
定価 2900 円(税別)
サイズ A5 版
ISBN 978-4-8171-9767-2
NDC
備考 川口市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi