「まえがき」から引用する。
(前略)本書は,研究者,技術者をはじめとして,工程管理,品質管理,品質保証,マーケティングなど「ものづくり」に携わる実務家に, 実際の現場で役立ててもらうことを目的として執筆した.(後略)
わたしは隠居しているので、本書が想定している読者ではない可能性が高い。
次は p.59 の本文である。
表 4.3 に示したデータの構造を展開したものをもとに,後述する式 (4.1.11) ~ 式 (4.1.13) のように平方和を計算できる.(中略)参考までに, 処理効果の平方和 `S_A` を例に,従来法(修正項:`CT = T^2 // N`)をもちいた計算を示しておく1).(後略)
ここで脚注 1) を引用する。
従来より,平方和の計算においては,手計算に便利なように修正項 `CT` を用いて平方和を計算する方法がとられている. 近年,コンピュータ,ならびに,そのソフトの発達に伴い,平方和の計算において `CT` を用いる必然性が薄れてきたので,本書では修正項を用いていない. 実務では,たいていの場合,要因効果,すなわち,平均値からの偏差に着目しているので `CT` への関心は薄いからである. しかし,稀に,データ全体の平均値に着目している場合があり,その折は `CT` に意味が出てくる.
わたしがうすうす思っていたことが、このようにはっきり書かれていて安心した。それにしても、修正項がなぜ `CT` なのだろうか。きっと、Correction Term の略なのだろう。
まとめると次のようになる。まず、水準数を `a`、各水準における繰り返し数が等しく `n` とする。 そして、`A_i` 水準の `j` 番目の個々のデータを `y_(ij) (i = 1, cdots, a, j = 1, cdots, n)` とする。 `A_i` 水準の合計と平均をそれぞれ `T_(i*)` 、`bary_(i*)` とする。また、全データの総計と総平均をそれぞれ `T`、`barbar y` とする。
本書で採用されている処理間平方和 `S_A` の計算は次のとおりである。
`S_A = n sum_(i=1)^a (bar y_(i*) - barbar y)^2`
修正項 `CT = T^2 // N` を用いた計算は、p.59 によれば次のとおりである。
`S_A =n sum_(i=1)^a bar y_(i*)^2 - CT = n sum_(i=1)^a bar y_(i*)^2 - T^2/N`
本書 p.42 には Excel の分析ツールを使用するときの注意事項がある。このページの本文および脚注を見ると、Excel の分析ツールで「P-値」を使用しないことを推奨している。 理由を読んだが、すぐにはわからなかった。
書名 | Excel による実験計画法 |
編者 | 松本哲夫 |
著者 | 松本哲夫・上田敦子・平野智也・山来寧志 |
発行日 | 2022 年 12 月 28 日 第1刷 |
発行元 | 日科技連出版社 |
定価 | 2900 円(税別) |
サイズ | A5 版 |
ISBN | 978-4-8171-9767-2 |
NDC | |
備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 統計活用術 > 統計の本 > 松本哲夫[編著]:Excel による実験計画法