分散分析:直交表を使った分散分析モデル

作成日 : 2024-12-13
最終更新日 :

分散分析の中で、直交表を使った分散分析モデルを取り上げる。以下はすべて伝統的な分散分析法に基づく。

交互作用を無視した場合の2水準の実験の解析

例題 1 : あるプラスチック組成物から成形品を製造する過程で色調のブレが起こるためその要因を特性要因図に整理し、 5因子を取り上げて実験した。各因子とも2水準とした。因子間の交互作用はないと考えられたので、`L_8` の特性要因図を用いた。なお、因子の欄の e は誤差を表す。 (文献1[例8.1]を改題)。

No.\因子

解答1:分散分析表は次のようになる。 P 値をみてみると、5 % 水準では、分散材料 B 、加熱時間 C 、混合時間 D が有意であることがわかる。

要因平方和 S自由度 `f`分散 `V`分散比 `F_0``P` 値
混練強さ A
分散材料 B
加熱時間 C
混合時間 D
肉厚 E
誤差 e

交互作用がある場合の2水準の実験の解析

例題2 : 電線の圧接時の引張強度を上げるため、AからEの5因子を取り上げて実験した。交互作用としてはA×B、A×C、A×D、B×C、C×Dを取り上げた。 なお、因子の欄の e は誤差を表す。 (文献1[例8.3]を改題)。

No.\因子

解答2:分散分析表は次のようになる。 `L_16` の特性要因図を用いた。P 値をみてみると、5 % 水準では、圧力 A 、時間 B 、酸化 C 、A×Dが有意であることがわかる。

要因平方和 S自由度 `f`分散 `V`分散比 `F_0``P` 値
圧力 A
A×B
A×C
A×D
時間 B
B×C
酸化 C
C×D
スキマ D
振幅 E
誤差 e

例題3 : ある材料の強度を高めるため、A, B, C, D, F, G, Hの7因子を取り上げて、それぞれ2水準で実験した。交互作用としてはA×B、A×C、B×C、C×D、D×F を取り上げた。 なお、因子の欄の e は誤差を表す。 (文献2[例8.5]を改題)。

No.\因子

解答3:分散分析表は次のようになる。 `L_16` の直交表を用いた。P 値をみてみると、5 % 水準では、A, D, C×D が有意であることがわかる。 この後は、`F_0` 値の小さい G, H, A×C, B×C, D×F をプールするとよい。C は、C×D が有意であるのでプールしない。プール後の分散分析表は省略する。

要因平方和 S自由度 `f`分散 `V`分散比 `F_0``P` 値
因子 A
A×B
A×C
因子 B
B×C
因子 C
C×D
因子 D
D×F
因子 F
因子 G
因子 H
誤差 e

測定を繰り返した2水準の実験の解析

例題4 : あるマイクロスイッチの温度上昇を最小に抑えるため、部品の銀めっき化が検討されている。どの部品にめっきすれば本当に効果が出るのかを知るため、 レバーA,アンカB、可動片C、端子Dの4部品を取り上げ、水準1はめっきあり、水準2はめっきなしとして上昇温度を測定した。交互作用はA×BとA×Cを検討した。 因子の欄の e は誤差を表す。 (文献1[例8.4]を改題)。

No.\因子

解答4:分散分析表は次のようになる。 P 値をみてみると、5 % 水準では、有意であることがわかる。

要因平方和 S自由度 `f`分散 `V`分散比 `F_0``P` 値
レバー A
A×B
A×C
アンカ B
可動片 C
端子 D
誤差 e

計算

次のフォームに因子の割り付けとデータを入れると、分散分析表が得られる。 因子の区切りはコンマまたはスペースを使う。両方の併用も可能である。データは1回の実験あたり1行を使う。同じ条件で繰り返す場合は空白またはコンマを入れて1行に書く。

例題1から例題4までのボタンは、上記例題の値をそのままフォームにコピーする。

因子の割り付け

データ

直交表による水準組合せと実験データは次のようになる。

分散分析表は次のようになる。

文献

  1. 谷津進:すぐに役立つ実験の計画と解析 基礎編
  2. 永田靖:入門 実験計画法

まりんきょ学問所統計活用術 > 分散分析:直交表を使った分散分析モデル


MARUYAMA Satosi