副題は「いまを生き抜くための数学」
なかなか面白い。
p.99 に次の記述がある。ここで政府とはイギリスの政府のことである。またトラストとはイギリスで医療・救急サービスを行なう機関・組織である。
また、2001 年に政府が、生命にかかわる緊急事態(カテゴリーA)について救急車は 8 分以内に現場へ到着しなければならないという見解を示したところ、 目標を達成したことを示す(あるいは達成したように見える)数字が急増した。 しかし、「生命に関わる緊急事態」とは何だろう。カテゴリーAとして記録される緊急電話の割合は、トラストによって 10 % 以下から 50 % 以上まで 5 倍のひらきがあった。 さらに救急サービスの仲には、到着時間を修正している、はっきり言えばウソをついているところもあった。救急サービスは数字をごまかしたわけだが、 その不正を暴いたのもまた数字だった。図 4 にあるとおり、記録された到着時間はぎりぎり 8 分以内のところに妙に集中し(まさしく突出している)、 8 分を超えると、とたんに少なくなっていたのである。(後略)
p.100 にあるこの図 4 をみると、笑ってしまう。ウソをついていることがよくわかる。
私は昔、昔起こったあることを思い出した。あるプロジェクトの責任者は、目標となっている利益率を守るために、月の後半になるとテストの費用をそのプロジェクトの原価とせずに、 間接費として計上していたのだった。つまり、ウソの報告だった。 私はその現場を見ていながら、直接意見を言える立場ではなく見過ごすしかなかった。この責任者はプロジェクトの完遂で認められて出世していった。
書名 | 統計数字にだまされるな |
著者 | M.ブラストランド,A.ディルノット |
発行日 | 2010 年 8 月 20 日 第1刷 |
発行元 | 化学同人 |
定価 | 1900 円(税別) |
サイズ | A5版 |
ISBN | 978-4-7598-1433-0 |
NDC | |
備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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