以前の放送大学教材である「時系列論」の新たな単行本化。
きちんと突き合わせたわけではないが、前著との違いは、尾崎氏担当の部分、しかも1ページほどに過ぎない。 それだけなのに値段が倍近く違う。 どうしたものだろう。誤植も少しある。
一部内容を、誤植の訂正と合わせて紹介する。次の入出力モデルがある。
`x(t) = varphi x(t-1) + theta y(t-1) + epsi (t)`
このモデルは、システムの出力 `x(t)` が、1ステップ前の出力 `x(t-1)` と、 入力 `y(t-1)` と、時刻 `t` での白色雑音 `epsilon(t)` で決まる線形システムである。 `varphi` と `theta` はパラメータである。
このようなモデルが適用される例として、河川の日流量の時系列がある。 `x(t)` をある日の河川の日流量とする。`x(t-1)` は前日の日流量であり、`y(t-1)` は、前日の降雨量である。 実際には、雨が降って増水した直後は急速に減衰するが、数日たって水位がある程度下がった後はゆっくりと減衰する。 このような減衰度の違いは、パラメータ `varphi` を定数ではなく、 非線形にすればよい。たとえば、次の通り。
`x(t) = {varphi_1 + (varphi_2 + varphi_3 x(t-1)+ cdots + varphi_k x(t-k+2)) exp(-gamma x(t-1)^2)}x(t-1) + theta y(t-1) + epsi(t)`
ここで、`varphi_i (i=1, cdots, k), gamma, theta` はパラメータである。
実は、同書では上記の式は、誤って次のように書かれている。
`x(t) = {varphi_1 + (varphi_2 + varphi_3 x(t-1)+ cdots + varphi_k x(t-2)^k)e^(-gamma) x(t-1)^2}x(t-1) + theta y(t-1) + epsi(t)`
13 章のベイズモデルにはさまざまな興味深い実例がある。コウホート分析もその一つだ。 詳しいことは下記に解説がある。
https://www.ism.ac.jp/~nakamura/cohort.htm
書名 | 時系列解析の方法 |
編者 | 尾崎 統・北川源四郎 |
著者 | 赤池弘次,石黒真木夫,尾形良彦,尾崎 統,北川源四郎 |
発行日 | XXXX 年 X 月 XX 日 初版 |
発行元 | 朝倉書店 |
ISBN | 978-4-254-12585-6 |
定価 | 円(本体) |
サイズ |
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