小川雄太郎:つくりながら学ぶ! Python による因果分析

作成日 : 2022-04-30
最終更新日:

概要

「はじめに」から引用する。

本書はこの因果分析の重要な 2 つの領域である「因果推論」および「因果探索」を、 実際にプログラムを実装しながら学ぶ書籍です。

因果分析は難しい

わたしは統計を学んで、因果分析は難しいと思っていた。単なる相関から因果は読み取れないと、 ずっと思っていたのだ。

たとえばこんな例がある。ある会社で、売上と広告宣伝費の間には正の相関関係があった。 新任の営業部長はこのデータを見て、広告宣伝費を多く使えば売上が伸びると信じた。 しかしこの見方は誤っていた。社長は言った。 「これは広告宣伝費を多く使ったから売上が伸びたのではない。 売り上げが激減したので広告宣伝費を削ったのだ。」

これは本書でいう「因果の関係が逆」というケースである。因果分析はこのような逆の場合でもわかるのだろうか。 本書をちらちらと読んでいったが、わたしの理解では、ランダム化だったり介入だったりがなければわからない、 ということである。たとえば、売上が伸びているときに広告宣伝費を減らすことや、 売上が減っているときに広告宣伝費を増やすようなことをしていなければ、 広告宣伝費の増加/減少が売上の増加/減少につながるかどうか、まったくわからないのである。 そして、このようなことをする酔狂な会社はあるのだろうか、私には疑問である。 もちろんこれは、本書に対する何等の批評ではない。

選別と選択

本書では疑似相関のパターンを挙げている。その第 3 は合流点での選別である。 p.22 にこの用語が出てくるが、 次のページは合流点での選抜となっている。読んでいくと両者は同じに思えるのだが、違いがよくわからない。

パス解析

そういえば、統計手法を学んでいたとき、因果分析に使われたのはパス解析という手法であることを知った。 しかし、パス解析は最近聞かない。そのかわり、因果推論や因果探索ということばが出てきて、 ランダム化比較試験とか、ランダムフォレストとか、横文字が跋扈するようになった。 うーん、ただでさえわからない統計手法が、ますますわからなくなった。

書誌情報

書名つくりながら学ぶ! Python による因果分析
著者小川雄太郎
発行日2020 年 6 月 25 日 初版第1刷
発行元マイナビ出版
定価2880 円(税別)
サイズA5 版変形
ISBN978-4-8399-7357-5
NDC
備考越谷市立図書館で借りて読む

まりんきょ学問所統計活用術統計の本 > 小川雄太郎:つくりながら学ぶ! Python による因果分析


MARUYAMA Satosi