「訳者序文」から引用する。
本書は,これまで全く統計学を学習したことがない方々のために, 自己の専門分野に統計学の手法を活用していただくための書である.
原題は "Statistics: a self-teaching Guide" である。
第1章は基本スキルととして、度数分布グラフの作り方から説明されている。これはアメリカ合衆国の本だからか、
p.6 などを見ると気温の一覧が最低 59.0 から最高 78.0 にわたっている。これはきっと華氏(Fahrenheit)なのだろう、
わかってはいるがびっくりする。p.6 の度数分布の横軸は単に「気温」となっているが、
こういうときは「気温(℉)」とするものだろう。 合衆国の本はこういうところに気をつけないといけない。
もっとひどい例は、p.9 で単位も何も与えられていない度数分布を求める問題があり、
その解答となる p.10 の度数分布の図の横軸に「気温」という、ありもしないデータが添えられている。
ちなみにこの問題は 10 のカテゴリーを用いて,次のデータの度数分布グラフを作りなさい.
というものだが、データは全部で 30 あり、最小値が 1.1 、最大値が 4.9 であった。
どうやって 10 のカテゴリーにしようかと思って解答を見ると、区分が
1.0以上 1.5 未満、1.5以上2.0未満、…、5.0 以上 5.5 未満、5.5以上6.0未満であって、
最後の 2 つ区分は属するデータが 0 という結果だった。あまり教育的ではないようだ。
p.45 の 12 にはナブラスカのとうもろこし畑における 1
エーカーあたりのてんとう虫の数の平均を推定したいと思っています.
という記述がある。
そうか、「ナブラスカ」が正しい発音なのかと思ったら同じページの 13 では、
ネブラスカのとうもろこし畑における 1 エーカーのあたりのてんとう虫の数の平均値は,
という記述があった。読み方の統一はされていないようだ。
母集団を整理するために使われる数値は,母数あるいはパラメータ(parameter)と呼ばれます。
という記述は非常に大事だ。
https://biolab.sakura.ne.jp/bosuu-parameter.html
上記サイトによれば、母集団を整理するために
という記述は、
「母集団の確率分布を決定するために」とはっきり規定するのがいいかもしれない。
書名 | 早わかり統計学 |
著者 | ドナルド J. クーシス |
訳者 | 林由子 |
発行日 | 2001 年 4 月 30 日 原著第 4 版翻訳第 1 刷 |
発行元 | 信山社出版 |
定価 | 3600 円(税別) |
サイズ | |
ISBN | 4-7972-3302-8 |
NDC | |
備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 統計活用術 > 統計の本 > ドナルド J. クーシス:早わかり統計学