中川 徹、小柳 義夫:最小二乗法による実験データ解析

作成日 : 2011-09-24
最終更新日:

概要

実験データを解析するための最小二乗法につき、その理論と実践を説く。

非線形の最小二乗法

最小二乗法を解説した本は多くあるが、非線形関数のあてはめという観点で解説した本は少ない。 本書はこの数少ない本に属する。たとえば、どのような場合に非線形関数への当てはめが必要になるだろうか。

これらはスペクトルの解析で必要になる。

ベッセル関数は理工学のあちこちで出てくる有用な特殊関数である。 円筒座標の物理方程式を解くと必ず出てくるといってよい。 このとき、実験値からベッセル関数による式のパラメータを決定するときに使われる。 ちなみに、物理探査で有名な某会社に勤めている某氏によれば、 最も使っているのはベッセル関数だそうだ。

3層の非線形パーセプトロンは通常逆伝搬法によって計算されるが、 パラメータの数に比べてデータが多ければいきなり非線形の最小二乗法を使う方法もありうる。 私が会社員時代アプローチしていた方法である。

本書では個別の関数の最適化ではなく、一般的なアプローチを解説している。 それが、線形の問題における修正 Gram-Schmidt の直交化法であったり、 Householder 変換による QR 法だったりする。 また、非線形の問題では、発散を防止し収束をよくする Levenberg-Marquardt 法について述べられている。

本書は、FORTRAN のプログラムパッケージ SALS の解説書という趣である。 実際に SALS を使えない人たちにとっては欲求不満が募り、自分でプログラムを書きたくなるだろう。 私もそんな一人であり、生涯のうち最もよく読んだ本になった。 ただ、今となっては使わないので処分した。

書誌情報

発行日昭和 年 月 日()
発行元東京大学出版会
定 価2,400 円(税別)
サイズ
ISBN4-13-064067-4
NDC

まりんきょ学問所統計活用術統計の本 > 中川 徹、小柳 義夫:最小二乗法による実験データ解析


MARUYAMA Satosi