ことば日記(2005年)

作成日:2005-03-15
最終更新日:

このページでは、2005年、日々、気付いたことばについて記録する。 2004年以前は「ことば日記(2004年)」としてまとめている。 2006年以降は、 まりんきょの別荘のカテゴリー:ことばにまとめている。


映画の広島弁

ある日、映画「父と暮せば」を見に行った。原爆の痛手を心に負う主人公の若い女性が、 幽霊となって復活した父と暮しながら自分の心を見つめる4日間の物語である。

広島の原爆が主題なので、主人公も父も広島弁で話している。その中で不思議なことに気がついた。 主人公の学校時代の「あきひこ」さんという友達の話が出てくるのだが、映画中では女の子である。 なぜ「あきひこ」さんが女性なのか、納得できなかった。この疑問をつれあいにぶつけてみると、 明快な答が返ってきた。映画中では「あきこ」であり、「あきひこ」ではなかったという。 ではなぜ私には「あきひこ」と聞こえたのか。理由は抑揚にある。

広島では「あきこさんを「あ_き ̄こ_」さんのように、 *あ*を下げて、*き*を上げて、*こ*を下げる抑揚をとる。一方関東圏では「あ ̄き_こ_」さんと呼び、 *あ*と*き*の抑揚が逆転する。 だから関東者の私には、広島抑揚の「あきこ」さんを認識するのは困難である。 ところが、東京抑揚でも「あきひこ」ならば、「あ_き ̄ひ ̄こ_」のように、 *あ*が下がり、*き*が上がり、*こ*が下がる。 *ひ*を入れると抑揚のつじつまが合うので、おそらく脳内で*ひ*が聞こえたことにしたのであろう。 (2005-07-02)

製販財システム

まじめな会議で、「製販財システム」という発言を聞いてびっくりした。 なぜびっくりしたかというと、「性犯罪システム」に聞こえたからである。

もっとも、発言者のイントネーションが「せ」 だった(小さい文字は強勢がないことを表す)。 そのため、しばらくして標題のことであると悟ったのだった。 それに、もともとコンピュータシステムの話題の中での発言だった。 それを思うと、「性犯罪システム」に聞こえた私のほうがどうかしているのかもしれない。

もう一つ、恥ずかしい話をする。 あるときテレビで「かんぜんちょうあく」という言葉が聞こえてきた。私はこれを脳内で 「完全超悪」と変換してしまった。5秒して、正しくは「勧善懲悪」だと気づいたが、 自分に老人力がついてきたことを確信した。 気になって調べてみると、同じ聞き違いをした人も既にいることを知り、私は安心した。 (2005-03-15)

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MARUYAMA Satosi