「英語について」について(作者 ふる氏)

作成日:1999-11-09
最終更新日:

1. 第一弾

以下はふる氏の英語論です。

「英語について」について
 ふる

 たしかに学校では肝心なことを教えてくれていない。
シゴトで海外など行ったとき英語で結構困るシチュエー
ションは、次の3つ。

1)聞き取れないときに、相手の発言内容をなんとかたし
 かめたい。しかし何度も聞き返すのは恥ずかしい。
2)頼み事をしたいが、その国その場の習慣からして何を
 頼んでよいのか判らない。
3)言い間違えたときに訂正したい。

 以下、筆者がカラダで覚えた対処法を恥を忍んで記し
てみる。

 まず一番簡単なのが3)で、"I mean,"と言って急いで
先を続ければよい。これは、高校の時英語雑誌の付録テ
ープでたまたま知ったのであって、学校で教わった覚え
はない。
 これがわかると、1)に応用が利く。パードンをいくら
繰り返しても聞き取れないものは聞き取れず、しまいに
相手が苛立ってくるので、次のように言ってみる。
"Do you mean (that) なんたらかんたら?"
 なんたらかんたら、のところは相手が喋っていそうな
ことを想像し、自分の言葉で置き換えゆっくり喋ってみ
る。これなら失礼にならないし、こっちの言うことは通
じる(はずだ)し、なんといっても、答えをイエスかノ
ーに限定しているところがミソである。ただし、相手が
素直にイエス・ノーで答えてくれるとは限らない。でも、
大抵の場合、表情で察しが付く。ということは、大きな
誤解をしないですむ、ということである。
 2)はどうか。「水がのみたい」と誰かに言う。その人
が、ウェイターか何かで絶対もってきてくれるシチュエ
ーションなら、"Would you please.."でも"May I have.."
でも"May I ask you.."でもなんでもかまわないはずで
ある。しかしその人が自分に水をのませる責任を負う立
場の人かどうか判らないときにも使える万能の表現があ
る。
 "I'd like water".
 これでよい。その人に水を運ぶ義務がないときでも、
「それならあの人に言え」ぐらいの返事はしてくれる。
これなど、中学で習う英語だが、こんなに万能な表現だ
と教えてくれれば、もっと覚える意欲が湧いたろうに、
と思う。ひょっとしたら"please"よりも便利で遠慮なく
使えるかもしれない。
 以上、どれも、単語も構文も死ぬほど簡単である。し
かし、これほど使えるのに使い道を教わった覚えがない。
この点、学校で教わったことが何の役にも立っていない、
と思う。いつか書いてみようと思ったこの3つを思い出
すきっかけを与えていただいた「英語について」コーナ
ーに心より感謝する次第である。ただし、本稿を使用す
ることによって生じうるあらゆる損害について筆者は免
責させていただきたく尻尾を巻きつつ筆をおく。

2. 第二弾

以下もふる氏の英語論です。

 前回の「投稿」、よく考えたら貴頁の趣旨とはあま
り関係なくて申し訳ありません。ボツにしていただい
てもかまいません。

 お詫びに「構造の複雑な英語」への文句を。

1.動詞の過去形と過去分詞形が、規則動詞、つまり標
準の活用で、同じになっているのが気にくわない。な
ぜ区別しないのでしょう?違っている方が、ネイティ
ブ以外の人間には誤解されにくいと思うのです。いっ
そ、全部、過去型は-ed、過去分詞形は-enにしてしま
えばどんなに良いか。

wait waited waiten,
want wanted wanten,
surprise, surprised, surprisen,
make made maden,
do did diden,
etc.

 これのいいところは、He's waited/waiten.
のような口語で、完了か受身かがはっきり区別できる
ことです。
 普通の英語で、"He's waited."だと、厳密には、待
っているのか給仕されるのか判らない。'sという短縮
形でhasでもisでも表現できるというところからして
そもそもイカサマな言語といえるでしょう。日本語に
も「れる」「られる」に可能と受身と自発と尊敬の意
味があって紛らわしいのですが。
 文語でも、長い文章で、受身の分詞句が動詞の過去
形に見えて句の切れ目が判らず困ることも私には多々
あります。

 耳で聞くことを考えると、最後のdidenはダメです
ね。didn'tと区別がつかん。助動詞(になる動詞)に
は適用できないのか... madenもmaiden(処女(の))
と同じ発音になってしまいますね。たとえば
I dare say she is made to be my wife. (彼女は私
の妻になる運命にある、と敢えて私は言う)なんての
が、
I dare say she is maden to be my wife. 
に変わると、結構意味深に聞こえるのでは。maiden
voyageが「作られた航海」に聞こえてしまうのもマズ
いですね。
 こういうネタはネイティブチェックをかけないとは
なはだ怪しいのでもうやめときます。ほかにも却って
混乱するケースがあるのかもしれません。

 ちなみに、エスペラントではどうなるのでしょうか。

2.I want you to do...
 以前、拙頁に書いたことがあるのですが(今は削除)
この表現の"I want you"をグリーティングカードの表
に書いて、その裏に "to be a good friend." なんて
のを女の子にやられたらたまりませんよね。
 こういうことを中学の頃にふと思ったんですが、プ
リティーウーマンだったか、最近みた映画で、このネ
タが使われていてびっくり。ひょんなことで道中を共
にすることになった男と女がいて、互いに実は好感を
もっているのだけれど、そうは言えない事情があって
突っ張っている。そういうシチュエーションで男の方
が、"I want you..."と切り出す。彼への好意にすでに
目覚めつつある女が "You want me?"と聞き返す演技が
なかなか良かった。男のせりふには、to不定詞が続い
て「君に…について協力してほしい」となるんですが。
男はフランス人という設定で、ネイティブはこういう
危ない構文は誤解されそうなシチュエーションでは使
わないのでしょう。ラストシーンはもちろん(ガリガ
リ←シュレッダー)
 と、とにかく、途中で間をおいたら意味がめちゃく
ちゃになるような言葉はいかん、ということが言いた
いのでした。

    ふる

3. まりんきょの補足

「エスペラントではどうなるのでしょうか」という痛いところを付かれましたので、 関連する事柄も含めてお答えします。この「痛い」というのは、エスペラントが痛いのではなくて、 私が十分理解していないので痛いということです。

付記:実際に私が十分理解していないことを、後藤文彦さんが指摘して下さいました。 以下は敢えてまちがったままの文を載せています。後藤さん指摘の文と合わせて 御覧下さい。(1999-11-20)

エスペラントの過去形と過去分詞形は規則的です。例外はありません。
まず、動詞の過去形はすべて is で終わります。過去分詞形は受身の現在であれば it で終わります。
英語で継続を表す完了形は、エスペラントに相当する形はなく、単に現在(過去、未来)形で代用します。
もう一ついえば、エスペラントに省略形はありません。
He's waited/waiten.
はそれぞれエスペラントでは
Li atendis.(彼は待っている)
Li estas atendita.(彼は待たされている)
となります。(estasはbe動詞に相当)

なお、英語からできたピジン・イングリッシュ(トク・ピジンなど)も、 覚えやすい規則であると聞いたことがあります。

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MARUYAMA Satosi