理想のピアニスト(第19回、アマチュアのピアニストの腕)

作成日:2009-09-21
最終更新日:

アマチュアのピアニストの腕

あるブログを見て驚いたことがある。 そのブログの主は小さい頃ピアノを習っていて、 ショパンの「軍隊ポロネーズ」と「幻想ポロネーズ」は 指の動きも困難でなく、ミスタッチなく弾き通せる、 というのである。 その後に「英雄ポロネーズ」は違った、 という話が展開していくのだけれど、それについては言及しない。 私が驚いたのは、「幻想ポロネーズ」がミスタッチなく弾き通せる、 ということだった。

自分に引き寄せて考えてみると、「軍隊ポロネーズ」なら、 ミスタッチは一桁ですみそうだ。しかし、 幻想ポロネーズは、ボロボロ間違えそうだ。 2008 年ころのことだと思う。あるところでで一度楽譜なしで弾き始めたら、途中でわけがわからなくなり、 中途でやめてしまったことがある。これは酒を飲んでいたからという理由にしておく。

酒を飲んでいなくてもミスタッチをする自信は強くある。 たとえば、最後の3、4ページである。ここは、両手とも3連符によるオクターブをなめらかに弾くことが求められる。 その中で、16分音符が挿入されたり、ヘミオラが登場したりで、頭の整理ができない。

前半でも、右手で平行3度と平行6度をとるところは難所である。その後も、 左手の音階に乗って歌うのは気持ちがよいが、 その後の右手が上昇する16分音符のトレモロ状分散和音は扱いにくい。

そんな幻想ポロネーズをミスタッチなく弾き切るとは、大したものである。 この主は、練習をしていた当時を振り返ってそのように言っていることはわかる。 しかし、私は一生懸命練習をしていた当時でさえ、ミスなしで弾けるはずがない、と思い込んでいた。

私が恐れていることは、おそらくアマチュアでミスタッチなく幻想ポロネーズを弾き切る日本人が、 ゴマンと居るだろう、ということだ。いや、恐れることはないのだけれど、 さきのブログを見たらそんな恐れが沸いてきたのだ (第23回に続く)。

追記:このときの失敗にもめげず、2015 年の暮に某所にてショパンの幻想ポロネーズを前半(ロ長調になる前まで)弾いたのだが、 後半は hasida 氏にバトンタッチした。これも、弾けなくなったからではなくて某所では一人あたり弾く時間が 10 分以内と定められていたからだ、 と強がりを言っておく (2016-03-26) 。

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MARUYAMA Satosi