理想のピアニスト(第18回、作曲家108人)

作成日:2008-07-21
最終更新日:

主な作曲家は何人選ぶべきか

最近取り付かれた妄想がある。 古今の主なピアノ曲作曲家をまとめたい、という妄想だ。 全部で何人まとめるべきかという問題については、 100人+αとしたい、と思っている。 まずオーダーとしては、3桁だろう。2桁は少ないし、 4桁は多すぎる。3桁の上位(たとえば800人)も把握できない。 ということで基準は100人である。

次に+αをどれだけとるか、ということに対してであるが、 100人ぴったりでは恣意的に選んだ意図が透けてみえる。 選ぶという行為自体が恣意的だから矛盾しているのだが、 100人だけではなくもう少し集めたい、と思うのだ。 具体的なαには、8を想定した。 101匹わんちゃん、というのはあるが、ディズニーからの借用はしゃくだ。 やはり煩悩の数を表す108を採るのがよいだろう。

どの時代から誰を採るか

さて一概に108人といっても、どのようなバランスでとるのか、 大変むずかしい。 ここでは先例として、 ピティナの年表(www.piano.or.jp)を参考にしてみよう。 数も115人であり、私の目標に近いのもありがたい。 これをネタにして、私だったら誰を外して、誰を入れる、という議論にすればよい。

バロック期

ピティナの年表では、バロック期が冷遇されているように思う。 スヴェーリンク、フレスコバルディはよいとして、 イギリスのヴァージナルの作曲家がない。 ウィリアム・バード(1540-1623)、オーランド・ギボンズ(1583-1625)、 ジョン・ブル(1562-1628)は加えられて然るべきだろう。

フランスではクープランとラモーがあるのでよいと思う。

ピティナにはブクステフーデがあるが、 実は曲をよく知らない。バッハに影響を与えた人として有名なので、 挙げておくのはよいだろう。

それから、表にのっていないテレマン(1681-1767)、アントニオ・ソレール(1729-1783) あたりは当落線上にある。

古典派

古典派は人が少ないので、ピティナの人選に概ね同意する。

とはいうものの、クレメンティがあるのなら、 ドゥシーク(1760-1812)(デュセックほか表記あり)はどうなるのか、 などの疑問はある。

ロマン派

ここに来て、ピティナの年表から落とす人を探そう。 モシェレス、カルクブレンナー、バイエル、ブルグミュラー、ヒラーの曲は、 どうしても初歩の曲、練習曲あるいは無味乾燥な曲のイメージが先にたち、 鑑賞用の曲としての作曲家ではない。 チェルニーもこの一群なのだろうが、 ひょっとしたら鑑賞に耐える曲があるような気がするので落とせなかった。

それから、マルモンテル、ラヴィーナという人たちが出てくるが、 私は知らない。マルモンテルはピアノ教師として優秀であったという (マルグリット・ロンはこのマルモンテルの孫弟子)。 そして、ラヴィーナはアルカンと同時期に活躍し、 ショパンやリストに影響を与えたということである。 この二人は私の独断で無視しよう。 なお、ラヴィーナの初期作品は3本の手を意識しているというが、 それならピティナの年表にタールベルクが出てきてもいいだろう。 しかし、タールベルクの名前は見当たらない。

なお、クララ・シューマンについては、どう評してよいかわからない。 曲をひとつ聴いただけだからだ。 ただ、いろいろな作曲家がいてよいと思うので、 このまま入れておこう。

そのあと、ライネッケの名前が出てくる。 こちらはフルート曲「水の精」(ウンディーネ)の作曲者というだけは知っている。 ちなみに、この曲を聴いたことはないし、他の曲も知らない。 この作曲者を入れることにも、私は躊躇する。 そしてバダジェフスカだが、この人は実質上乙女の祈りだけだから、 外してよいだろう。女性ということであれば、クララ・シューマンを入れているのだから。

バダジェフスカより後のキュイ以降は、 入れるべき、または入れても問題ないレベルだと思う。 しかし、キュイ、シャミナード、カリンニコフ、シリル・スコットなど何人かは、 ピアノ曲を含めた作品をまったく聴いてない体たらくである。 積極的に入れてよいのか、わからない(カリンニコフだけは、ピアノ曲の楽譜を所持している)。

そんななかで、ギロックは落としてよいと思う。 観賞用というよりは、入門用と思えるからだ。

さて、入れる作曲家をどう選ぶかは落とす作曲家より難しい。 ピティナの作曲家一覧には掲載されていない作曲家を探そう。

まずドイツ・オーストリア系。 シェーンベルクはあるが、ウェーベルンやベルクはない。 この二人には、ピアノ独奏曲が少ないからだろう。 私も、この二人は入れるつもりはない。

次にフランス系。デュカスやオネゲルがないが、 同じ理由と思われる。ただ、デュカスはソナタと変奏曲がある。 リストに入れたいが、難しいだろうか。

イギリス系は、ディーリアス、ホルスト、ティペット、 ヴォーン=ウィリアムスらの名が見当たらない。 個人的には、ディーリアスとティペットは載せて然るべきと思う。

アメリカでは、コープランドがないのが大問題だ。 数は少ないかもしれないが、ソナタ、変奏曲、幻想曲の3大作品で、 CD1枚の大半を占めるだけの量である(そのほか、中型作品のパッサカリアや小品もある)。

北欧系は、グリーグとシベリウスだけではさびしい。 舘野泉の紹介に報いる意味で、 パルムグレン、メラルティン、ラウタヴァーラは入れたい。 個人的にはエングルンドなども好みである。

南欧系は、知らない作曲家が多い。 提案だが、12音の導きが感じられるスカルコッタスを入れてはどうだろうか。 ピアノ曲もけっこう多い。

続きは第20回にある。

追記:日本の作曲家について言及していないのは、意図的というより単に知らないだけだからである(2016-03-26) 。

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MARUYAMA Satosi