理想のピアニスト(第17回、日本のピアノ音楽)

作成日:2008-07-06
最終更新日:

現代ピアノ音楽の諸相

学生のころ、小石川図書館でいろいろなレコードを借りた。 7割がジャズで3割がクラシックだった。 クラシックの中では主に現代曲を借りていた。 当時強い印象を持ったのが 「現代ピアノ音楽の諸相」だった。

2008年の7月6日、あるCD屋にこのCDがあった。 懐しくなって買ってしまった。 この中で一番印象に残っているのが、 戸島美喜夫の「冬のロンド」であった。

といっても覚えているのは、最初に置かれる、 つんつんした音の列だけなのだ。 自分のもの忘れのよさに、本当に呆れる。

とはいえ、忘れてよかったとも思う。 音の列の後で、末尾間際に登場するクラスターの爆発は、 新鮮な気分で聞けたのだから。

その他、一柳慧の「タイム・シークエンス」、 甲斐説宗の「ピアノのための音楽」、 坂本龍一の「ぼく自身のために」を聴き直した。 レコードを借りた当時は、現代日本のピアノ音楽も征服してやろう、 とわずかに思っていた。 しかし、タイム・シークエンスに当たって驚いてしまい、 そんなことは諦めてしまった。

そう、私がかつて身を寄せていた同好会では、 「ピアノのための音楽」を弾いた奴も、 「タイム・シークエンス」を弾いた奴もいた。 とんでもなかったな。

ということで、今回のこの項の結論は、次の通り。
理想のピアニストは 「タイム・シークエンス」が弾ける。(2008-07-06)

日本の代表的なピアノ曲は何か

私がピアノのサークルに入ったとき、ある先輩に聞いた。 「日本のピアノ曲では何がいいでしょうか」 先輩いわく、「髙田三郎の『ピアノのための前奏曲集』にある***はいい。あとはカス!」と宣言された。 この曲集を手に入れて、***を弾いてみた。 6/8 拍子の、繊細な曲想で紡がれた佳品だった。 さて、***は何かというと、手元に楽譜がなくてわからない。 はっきりした時点で明かすことにする。

髙田三郎は合唱曲、それも「水のいのち」が突出して有名だが、 ピアノ曲も残していたのだった。

さて、日本の作曲家というと思い浮かべるのは誰だろうか。武満徹だろうか。 この人のピアノ作品は、難しい。私が持っているのは「雨の樹 素描」だけであるが、 目がくらくらする。最初の1ページで、指示についていけない。

楽譜を持っている、ということだけでいえば、トッカータ関連のほかには、 高橋悠治の「毛沢東 詞三首」、石井真木の「彼方へ」、 諸井誠の「ピアノのためのαとβ」ほかわずかである。 最初の2曲は、たまたま実演を聞いたことがあり、 その後の確認で買ったものである。全音ピアノピースで買えた、 ということもよい点だった。

理想のピアニストたるものは、日本の作曲家の作品も弾けなければならないが、 選曲が大変だろう。西洋の作曲家に比べ、作品を探す努力、楽譜を探す努力、 そして何よりも自分の趣味を明らかにして高める努力が一層求められる。 (2009-02-01)

追記:先の髙田三郎の『ピアノのための前奏曲集』にある***だが、第 2 曲「風に踊る陽の光」である。 諸井誠の「ピアノのためのαとβ」の楽譜はいつのまにかなくしてしまった。 さてこの機会に「現代ピアノ音楽の諸相」を聴こうとしたが、 CD がどういうわけか見つからない。 仕方がないので、原博の「24の前奏曲とフーガ」を聴いている。 なお、「毛沢東詞三首」はアマチュアピアニストの生演奏を聴いたことがある。 (2016-03-26)

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MARUYAMA Satosi