概要
「まえがき」から引用する。
(前略)本書では“線形代数の本質的な論理を,まず直観的イメージとして捉えること”を目標とした. そのために本書では,線形代数を単なる行列の計算とみなすのではなく,あくまで公理的な論理構成をもつものと考えるが,しかし,それを定理の証明として述べるのではなく,工学や物理学の簡単な例を多用して, “線形代数の基本概念や構造がなぜ重要であり,どういう状況で必要になるか”を理解できるように心掛けた.
実際に、線形代数が使われる例として、電気回路、振動、力のつりあい、微分などが取り上げられている。
章末には練習問題があり、巻末には練習問題の略解がある。
本書は 1987 年 5 月 10 日、講談社より発行されたものである。
という記述が索引の終わりの隣ページにある。
感想
文庫本サイズ
文庫本サイズなので、ページによってはレイアウトの都合上フォントがかなり小さくなる箇所があり、読みずらい。たとえば p.381 などがそうだ。そこで、写経のように pp.380-381 を一部を写してみた。 第4章 ベクトル空間の線形写像から、4 ジョルダンの標準形 の部分である。
`W_1, W_2` を線形写像 `A` の不変部分空間とし,`W_1 nn W_2 = {bb0}` ,すなわち,`bb0` 以外に共通部分をもたないとする. さらに,`V^n` の任意のベクトルをそれぞれ部分空間 `W_1, W_2` に属するベクトルの和で書くことができる場合,すなわち `V^n` が部分空間 `W_1, W_2` の直和
`V^n = W_1 o+ W_2`になる場合を考える. 部分空間 `W_1, W_2` の次元をそれぞれ `l, m` とすれば `l + m = n` である. 部分空間 `W_1` から `l` 個の独立なベクトル \( \boldsymbol{e}_1, \boldsymbol{e}_2, \dots, \boldsymbol{e}_l \)をとり, 部分空間 `W_2` から `m` 個の独立なベクトル \( \boldsymbol{e}_{l+1}, \boldsymbol{e}_{l+2}, \dots, \boldsymbol{e}_n \) をとる. これらを合わせた `n` 個のベクトルは線形独立であるから、`V^n` の基底にとることができる. この基底に関する線形写像 \( \boldsymbol{A} \) の成分行列 `A` を考えてみよう. 不変部分空間 `W_1` に属するベクトルは線形写像 \( \boldsymbol{A} \) を施しても不変部分空間 `W_1` に属するから像 \( \boldsymbol{Ae}_1, \boldsymbol{Ae}_2, \dots, \boldsymbol{Ae}_l \) は基底ベクトル \( \boldsymbol{e}_1, \boldsymbol{e}_2, \dots, \boldsymbol{e}_l \) だけの線形結合で書くことができる. 同様に,像 \( \boldsymbol{Ae}_{l+1}, \boldsymbol{Ae}_{l+2}, \dots, \boldsymbol{Ae}_n \) は基底ベクトル \( \boldsymbol{e}_{l+1}, \boldsymbol{e}_{l+2}, \dots, \boldsymbol{e}_n \) だけの線形結合で書くことができる.それらを \[ \begin{matrix} \boldsymbol{A}\boldsymbol{e}_1 & = & a_{11}\boldsymbol{e}_1+a_{21}\boldsymbol{e}_2 + \dots + a_{l1}\boldsymbol{e}_l & \\ \boldsymbol{A}\boldsymbol{e}_2 & = & a_{12}\boldsymbol{e}_1+a_{22}\boldsymbol{e}_2 + \dots + a_{l2}\boldsymbol{e}_l & \\ & & \dots \ \dots & \\ & & \dots \ \dots & \\ \boldsymbol{A}\boldsymbol{e}_l & = & a_{1l}\boldsymbol{e}_1+a_{2l}\boldsymbol{e}_2 + \dots + a_{ll}\boldsymbol{e}_l & \\ \boldsymbol{A}\boldsymbol{e}_{l+1} & = & & a_{l+1 \ l+1}\boldsymbol{e}_{l+1}+a_{l+2 \ l+1}\boldsymbol{e}_{l+2} + \dots + a_{n \ l+1}\boldsymbol{e}_n \\ & & & \dots \ \dots \\ & & & \dots \ \dots \\ \boldsymbol{A}\boldsymbol{e}_n & = & & a_{l+1 \ n}\boldsymbol{e}_{l+1}+a_{l+2 \ n}\boldsymbol{e}_{l+2} + \dots + a_{nn}\boldsymbol{e}_n \end{matrix} \] とする.(後略)
これで理解できた、と言えればいいのだが、残念ながら理解はまだできなかった。
数式の記述
数式はASCIIMathML および MathJax4 を用いている。
| 書名 | 理工学者が書いた数学の本 線形代数 |
| 著者 | 甘利俊一・金谷健一 |
| 発行日 | 2023-07-10 第1刷 |
| 発行元 | 筑摩書房 |
| 定価 | 1500 円(税別) |
| サイズ | 文庫本サイズ |
| ISBN | 978-4-480-51197-3 |
| NDC | |
| その他 | ちくま学芸文庫、川口市立図書館にて借りて読む |