「文庫化に際して」から引用する。
(前略)本書は「数学者」を増やすためのものではない.素人でも数学を楽しむことができることを説明したい―と著者は考えたのである.(後略)
本文は古風な書き方が見られる。古風というのが言い過ぎならば、独特である、といえばいいだろうか。 たとえば、あちこちで称えるという記述がある。 p.157 から引用する。
(前略)一群の数の集まりにおけるおのおのの数にそれぞれ一つの数を対応せしめる ‘ 規則 ’ が与えられた場合, その ‘ 規則 ’ そのものをばその数の集まりの上で定まった ‘ 函数 ’ と称える.(後略)
この称える
というのは「たたえる」と読むのだろうか。今なら「称する」とか「呼ぶ」、「言う」とするのがふつうだと思う。そのほかにも …をば
とか、
対応せしめる
など、読んでいるうちに妙に時代劇を見ているかのような雰囲気になる。
通読してみて数学の基礎付けについての記述が厚いような気がした。これは著者の一人である赤氏の専門が数学基礎論であるためだろう。
「1. 幾何学的精神」の副題は、パスカルとエウクレイデスである。ユークリッドではなくエウクレイデスを採用したところに著者らの見識を感じる。この章の p.031 に、 ピュタゴラスの定理の等積変形による証明が掲げられている。 本書の図から、清宮俊雄の初等幾何のたのしみで見た、等積変形による証明を思い出したが、図が違っていた。
巻末にはいろいろな参考書が挙げられている。いわゆる数学書だけではなく、哲学書もある(デカルト「方法序説」など)。
私が見たことがあるのは、永田雅宜「抽象代数の基礎」と、
ポリア「いかにして問題をとくか」だけである。
以前は高木貞治「解析概論」も持っていたが、引越しで処分してしまった。なお、p.461 の(16) 吉田洋一 微分積分学(培風館)
は、
その後ちくま学芸文庫から再刊された。
数式はMathJax を用いている。
| 書名 | 数学序説 |
| 著者 | 吉田洋一・赤攝也 |
| 発行日 | 2013 年 9 月 10 日(第1刷) |
| 発行元 | 筑摩書房 |
| 定価 | 1550 円(本体) |
| サイズ | 文庫サイズ |
| ISBN | 978-4-480-09558-9 |
| NDC | |
| その他 | ちくま学芸文庫、越谷市立図書館にて借りて読む |
まりんきょ学問所 > 数学の部屋 > 数学の本 > 吉田洋一・赤攝也:数学序説