原島博・堀洋一 : 工学基礎 ラプラス変換と z 変換

作成日 : 2021-12-01
最終更新日 :

概要

「まえがき」から引用する。

本書は,工学系を志す学部学生を対象に執筆した, 実用性を意識したラプラス変換と z 変換の教科書である.

感想

最初にラプラス変換を学んだのは、制御論のときだったか、物理数学のときだったか、どちらかは忘れた。 ただ、一般教養の数学や物理の時間ではなかったのは確かだ。初めてラプラス変換を学んだとき、 これは便利な道具があったものだと驚いた。なんといっても、記号の操作で微分方程式が解けるというのが爽快だ。

本書 p.4 でラプラス変換の定義が出ている。この定義式 (1.1) を受けて、次のように続く :

一般に式 (1.1) によって得られる関数 `F(s)` を「`f(t)` の裏関数 (または `s` 関数,像関数)」と呼ぶ.これに対して,もとの実関数 `f(t)` を「 表関数(または `t` 関数,原関数)」と呼ぶ.

私がラプラス変換を学んだ時「表関数」、「裏関数」という言い方は聞いたことがなかった。 この用語は面白いと思う。私にって使う機会がくるとは思えないが、そのときのために覚えておこう。

pp.163-164 にラプラス逆変換表が載せられている。この裏関数の一覧を見てみると、 文字 `omega` がある式とない式がある。この違いは何か、考えてみた。わかったことは、 表関数 `f(t)` に `sin omega t` か `cos omega t` が出ていれば `omega` を用い、 そうでなければ `omega` を用いていない。また、sin や cos があっても、 表関数に複数の周波数が対応する場合には `omega` ではなく `a` や `b` を使うようだ。

裏関数 : `1/((s^2+a^2)(s^2+b^2))` 表関数 : `1/(ab(a^2-b^2))(asinbt - bsinat)`

では、次はどう解釈すればいいのだろうか。

裏関数表関数
`s/(s^2+a^2)^2``t/(2a) sin at`
`1/(s(s^2+omega^2))``1/omega^2 (1 - cos omega t)`
`1/(s^2(s^2+omega^2))``1/omega^3 (omega - sin omega t)`

あまり深く考えないのがいいようだ。

なお、ラプラス変換の章に触発されて、 JavaScript でラプラス変換ができるスクリプトを作ってみた。 本書の付録 A ラプラス変換表のうち、表 A.1 のラプラス(順)変換表にある関数が変換できる。

数式表示

数式はMathJax で表示している。

書誌情報

書名工学基礎 ラプラス変換と z 変換
著者原島博・堀洋一
発行日2004 年 10 月 10 日 初版
発行数理工学社
発売サイエンス社
定価2200 円 (税別)
サイズ
ISBN4-901683-16-0
NDC413.5
その他草加市図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi