桑田孝泰・前原濶:複素数と複素数平面

2026-07-02

概要

副題は「幾何への応用」

本文中に問題があり、巻末に解答がある。

感想

要再読である。

イデアル

第1章「複素数」のp.6 の「複素数の導入」というコラムから引用する。

高校の数学の教科書と同じく,この本でも加法と乗法の演算を「文字 `i` についての式として行い,`i^2` がでてきたら -1 で置き換える」…(*) と導入した. これは,実数径数の多項式環 `RR[x]` のイデアル `(x^2+1)` による剰余環 `RR[x] // (x^2 + 1)` を複素数とみなして加法と乗法を考えているのである. このようにみると (*) を定義したときに感じたかもしれない違和感がなくなるのではないだろうか.

このように言えるのは、イデアルが一点の曇りもなく分かっている人だけだと思う。イデアルがわからない(約数と倍数のようなものというぼんやりしたことしかわからない)私のような馬鹿者にとっては、 違和感が相変わらずつきまとっている。

このようなイデアルによる複素数の導入について、もう少し詳しい、 飯高茂氏の『https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/1501/1501iitaka.pdf』という解説がある。

正四面体

第4章「複素数と正射影」のp.84 の「定理 4.15」は面白い。ここで、`H` は3次元空間 `RR^3 = {(x, y, z)|x, y, z in RR}` の平面を表す。

次の定理は M. Eastwood と R. Penrose によって 2000 年に得られたものである.


定理 4.15

4 つの複素数 \( \boldsymbol{a, b, c, d} \) `in H` が `RR^3` 内の正四面体の 4 頂点を正射影したものであるための必要十分条件は

\[ (\boldsymbol{a} +\boldsymbol{b} + \boldsymbol{c} + \boldsymbol{d})^2 = 4 ( \boldsymbol{a}^2 +\boldsymbol{b}^2 + \boldsymbol{c}^2 + \boldsymbol{d}^2 ) \]

が成り立つことである.また,その場合,`RR^3` 内の正四面体の 1 辺の長さは

\[ 2\mathrm{Re}(\boldsymbol{a} - \boldsymbol{p})^2 + 2 \mathrm{Re}(\boldsymbol{b} - \boldsymbol{p})^2 - 2\mathrm{Re} ( \boldsymbol{c} - \boldsymbol{p})^2 \]

で与えられる.ここで,\( \boldsymbol{p} = (\boldsymbol{a} + \boldsymbol{b} + \boldsymbol{c} - \boldsymbol{d} ) / 2\) である.


私は高校生時代、複素平面(本書では「複素数平面」)のことを全く履修しなかった世代だ。きっと数学が得意な今の高校生は、複素平面を使いこなせるのだろう。正直、うらやましい。 ところで、この M. Eastwood はクリント・イーストウッドではないのはわかるが、R. Penrose は、ペンローズの階段やペンローズの三角形で有名なロジャー・ペンローズのことだろうか。

数式・図の記述

数式はASCIIMathML および MathJax4 を用いている。

書名複素数と複素数平面
著者桑田孝泰・前原濶
発行日2017-08-25 初版1刷
発行元共立出版
定価1700 円(税別)
サイズA5版
ISBN978-4-320-11074-8
NDC
その他川口市立図書館にて借りて読む