吉田武:虚数の情緒

2026-04-01

概要

副題は中学校からの全方位独学法

感想

以下はつまみ食いならぬ「つまみ読み」の感想だ。

もっともっと奇妙なもの

p.471 から引用する。

方程式 `x^2 = -1` も奇妙に思えたかもしれないが,この項を締め括るに当って,もっともっと奇妙なものをお見せしよう.それは,二乗して i になる数,即ち

`x^2 = "i"`

の根である.この方程式も当然,“複素数の範囲” で根を持つ.

私も昔、この方程式を考えたことがある。そのときは、代数学の基本定理も知らず、i の次にはどんな想像上の数が見つかるのだろう、とわくわくしていた。 しかし、何かの機会でこの方程式も結局 i を使って表されることを知り、がっかりした。 i の次の新しい数、つまり四元数のことを知ったのはもっと後だ。なお、この方程式も当然…とあるのは、代数学の基本定理のことを踏まえているのだろう。 さて、この基本定理は本書のどこに書かれているのだろう。それはともかく、引用を続ける。

そこで,その答えを, `x = a + b"i"` と置くことにしよう.この時

`"i" = (a + b"i")^2 = a^2 - b^2 + 2ab"i"`

が成り立つ,というのが問題の主張である.「二つの複素数が等しい」とは“実部と虚部が,それぞれ等しい事”であったから,これは

`a^2 - b^2 =0, quad 2ab = 1`

という二つの方程式に分割される.この連立方程式の根は

`a = sqrt(2)/2, b=sqrt(2)/2, 或いは a = -sqrt(2)/2, b=-sqrt(2)/2`

のどちらかである.特別の条件はないので,プラスの方の組を選び根とする.即ち,二乗して i になる数,言い換えれば「i の平方根」が

`"i"^(1/2) = sqrt(2)/2(1+"i")`

と求められた訳である.

ここで、特別の条件はないので,プラスの方の組を選び根とする.というのが気にかかる。私の感覚では 2 の平方根は `+-sqrt(2)` だ。だから、i の平方根は `+-sqrt(2)/2(1+"i")` である。 それに著者自身、前のページ(p.470) では、次のようにいっているではないか。なお、`omega = (-1 + sqrt(3) "i") / 2` である。

(前略)全体を纏めて,1 の六乗根は以下の六つとなる.

`+-1, +- omega, +- omega^2`.

書誌情報

書名虚数の情緒
著者吉田武
発行日2000 年 2 月 20 日 第1版第1刷
発行元東海大学出版会
定価4300 円(本体)
サイズA5版 1001 ページ
ISBN4-486-01485-5
その他川口市立図書館にて借りて読む