概要
副題は中学校からの全方位独学法
感想
以下はつまみ食いならぬ「つまみ読み」の感想だ。
もっともっと奇妙なもの
p.471 から引用する。
方程式 `x^2 = -1` も奇妙に思えたかもしれないが,この項を締め括るに当って,もっともっと奇妙なものをお見せしよう.それは,二乗して i になる数,即ち
`x^2 = "i"`
の根である.この方程式も当然,“複素数の範囲” で根を持つ.
私も昔、この方程式を考えたことがある。そのときは、代数学の基本定理も知らず、i の次にはどんな想像上の数が見つかるのだろう、とわくわくしていた。
しかし、何かの機会でこの方程式も結局 i を使って表されることを知り、がっかりした。
i の次の新しい数、つまり四元数のことを知ったのはもっと後だ。なお、この方程式も当然…
とあるのは、代数学の基本定理のことを踏まえているのだろう。
さて、この基本定理は本書のどこに書かれているのだろう。それはともかく、引用を続ける。
そこで,その答えを, `x = a + b"i"` と置くことにしよう.この時
`"i" = (a + b"i")^2 = a^2 - b^2 + 2ab"i"`
が成り立つ,というのが問題の主張である.「二つの複素数が等しい」とは“実部と虚部が,それぞれ等しい事”であったから,これは
`a^2 - b^2 =0, quad 2ab = 1`
という二つの方程式に分割される.この連立方程式の根は
`a = sqrt(2)/2, b=sqrt(2)/2, 或いは a = -sqrt(2)/2, b=-sqrt(2)/2`
のどちらかである.特別の条件はないので,プラスの方の組を選び根とする.即ち,二乗して i になる数,言い換えれば「i の平方根」が
`"i"^(1/2) = sqrt(2)/2(1+"i")`
と求められた訳である.
ここで、特別の条件はないので,プラスの方の組を選び根とする.
というのが気にかかる。私の感覚では 2 の平方根は `+-sqrt(2)` だ。だから、i の平方根は `+-sqrt(2)/2(1+"i")` である。
それに著者自身、前のページ(p.470) では、次のようにいっているではないか。なお、`omega = (-1 + sqrt(3) "i") / 2` である。
(前略)全体を纏めて,1 の六乗根は以下の六つとなる.
`+-1, +- omega, +- omega^2`.
書誌情報
| 書名 | 虚数の情緒 |
| 著者 | 吉田武 |
| 発行日 | 2000 年 2 月 20 日 第1版第1刷 |
| 発行元 | 東海大学出版会 |
| 定価 | 4300 円(本体) |
| サイズ | A5版 1001 ページ |
| ISBN | 4-486-01485-5 |
| その他 | 川口市立図書館にて借りて読む |