生命保険数学を学ぼうとする人々が身に付けるべき初歩のことがらと細部にわたる記述を記載している。
私がこの本を買った理由はただ一つ、著者の山内さんを存じ上げているということだけである。 483 ページで 3500 円(初版)は買いである。ぜひとも若い方々には保険数学を学んでほしい。 なお、私が下記に述べているのは初版をもとにしている。その後、 第2版が出たが私は持っていない。下記の記述には注意してほしい。
著者は「はじめに」で次のように述べている。
アクチュアリーの記号は生命保険を記述するには本当に便利なもので, たとえば, と書けば x 歳加入,保険期間 n 年の保険金即時払いの養老保険の保険金 1 に対する一時払純保険料を意味しており,この長々とした内容をコンパクトに 1 つの記号によって表現している。
なお、上記の記号は、 MathJax3をレンダリングエンジンとした、 MathML により表示している。 この表示にあたってh http://www.w3.org/TR/MathML2/chapter3.html#id3.3.9.3 を参考にした。 ASCIIMath での表示はあきらめた。
アクチュアリーの記号で、連生定期保険に使われる記号がある。
x y のどちらかが n 年間に死亡した場合(共存でなくなった場合)に支払う一時払純保険料である。
ここでの記号として、〔を時計回りに 90 度回したカッコである︹ がほしい。 この記号は 𐄉 や uFE39 で指定でき、Unicode の CJK 互換形というグループにまとめられていて、 presentation form for vertical left tortoise shell blacket (垂直左亀甲カッコの表現型) という名前がついている。なお、この記号については、前田克也氏の CJK 互換形というページを参照した。 氏に感謝する。
上記表現のため、MathML の <mover>…</mover>を二重に使っている。まず、xy と ︹ の間に使って、 また、︹ と 1 の間に使っている。
東京大学出版会による本書のページ http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-042131-7.html に初刷 「正誤表」のご案内 [2011.2.15]がある。 私が持っているのは第2版であるが、この第2版では訂正されている個所とそうでない個所があるので、 この正誤表は変わらず有効である。私が発見して上記の正誤表に載っていないものを示す。
ページ行 | 誤 | 正 |
---|---|---|
p24 L5 |
||
p26 L16 | 現代においてを計算することは | 現代において i を計算することは |
私は不真面目な読者だから、途中を飛ばして読んでいた。すると 3.3 計算基数を実際に作成する という節の 3.3.1 重要な演習 という項が目に入った。そこで著者はこう力説していた。
この作業はこの文章を読んだ後,時間をつくって 1 週間以内に必ず実行してもらいたい.
まるで不幸の手紙のようだ(失礼な言い方ですみません)。 これはなんとしても作らねばならない。ただ、原著ではスプレッドシートを作って、とあるが、 私はひねくれものなので、HTML と JavaScript で作成することにする。
どうも少しおかしい。あとでよく見てみよう。
書 名 | 生命保険数学の基礎 アクチュアリー数学入門 |
著 者 | 山内 恒人 |
発行日 | 2010 年 11 月 30 日(第 2 刷) |
発行元 | 東京大学出版会 |
定 価 | 3500 円(本体) |
サイズ | 21cm 483ページ |
ISBN | 978-4-13-042131-7 |
NDC | 339.1 |