概要
「おわりに」から引用する :
本書では,筆者の所属する大学のカリキュラムからの要請と, 筆者個人の単因子論偏愛趣味もあって,ここにあるような構成をとってみた.
線型代数におけるジョルダン標準形の存在を単因子論から導く証明がある。
感想
当たり前
私のような頭が弱い者にとっては、抽象性の強い代数学という分野は苦手である。 特に、次のような記述があると、気の弱い私は驚いてしまう。pp.14-15 にかけての命題とその証明である。
命題 3.3 i) `f: G -> G' ` が準同型ならば
`f(x^(-1)) = f(x)^(-1), f(e) = e'`
ただし,`e, e'` はそれぞれ `G, G'` の単位元である.ii) 準同型写像 `f` が同型写像であれば,逆写像 `f^-1 : G -> G` も同型写像である.
[証明] i) 略
ii) 当り前.
この ii) の「当り前」とはどういうことなのだろうか。
黒木玄先生の資料
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/LaTeX/20080514_homorphism_theorem.pdf
によれば、ありがたいことに ii) に関する証明があった。以下引用する 。
`a', b' in G'` に対して `a'b' = f(f^-1(a'))f(f^-1(b')) = f(f^-1(a')f^-1(b'))` なので `f^-1(a'b') = f^-1(a')f^-1(b')`
これならばわかる。この証明は、私には当り前には見えない。 私にとって当り前とは、ラパリサードの例として引用される「犬が西向きゃ尾は東」とか「死ぬ前までは生きていた」ということなどだ。 その程度の自明のことでないと当り前とは思えない。
左剰余類と右剰余類
本書 pp.20-21 から引用する。
いま,群 `G` とその部分群 `H` を1つ固定する.このとき,`G` の元 `x, y` に対して,関係 `~` を
`x ~ y hArr x^(-1)y in H`と定めると,`~` は `G` の同値関係を与える.(中略)この部分群 `H` による同値関係において,`x in G` の定める同値類は
`C(x) = {y in G | x^(-1)y in H}`である.ところが `x^(-1)y in H` ということは,ある `h in H` に対して `y = xh` であることを意味するから,`G` の部分集合を`xH := {xh in G | h in H}`と定義すると,`C(x) = xH` となる.このような,`x` が代表元となる同値類 `xH` のことを,群論では,`H` による左剰余類という. したがって,`H` におよる左剰余類全体の集合が,関係 `~` による商集合 `G//~` である.この商集合を `G//H` と書いて,`G` の `H` による左剰余集合, または,記号どおり単に,`G` を `H` で右から割った集合(または空間)ともいう.
本書の左剰余類の定義は多数派である。左剰余類と右剰余類を参照。
誤植
誤植があるかどうかは、私の数学の実力ではわからない。 索引では p.212 の「指標」を細分化した「―(アベール群の)」と書かれている。 おそらくここは(アーベル群の)と書きたかったのではと推測されている。 他の個所ではアーベル群と書かれている。
数式の記述
数式表現は ASCIIMathML を、 数式表現はMathJax を用いている。
書誌情報
| 書名 | 代数入門‐群と加群‐ 新装版 |
| 著者 | 堀田 良之 |
| 発行日 | 2021 年 3 月 15 日 新装第 1 版 1 刷 |
| 発行元 | 裳華房 |
| 定価 | 3410 円(本体+税10%) |
| サイズ | |
| ISBN | 978-4-7853-1413-2 |
| その他 | 越谷市立図書館で借りて読む |