「はじめに」から引用する。
本書は,身近な特別でない現象や実験から, 「数学がつかえる,数学がつくれる,そして数学が見いだせる」ことを実感できる本, 数学は与えられた問題を解くだけにあるのではなく,問題そのものをつくることに本質があり,その動機付けとしての実験とその数学を紹介した本, となるような気持ちを込めて書いたものです.
第3章は「ハイジの危険なブランコ」という表題である。物理の勉強という記事で、 アニメーション『アルプスの少女ハイジ』のハイジがオープニングで漕いでいるブランコの紐の長さについて、楕円積分を用いた厳密な解が導出されている。以下、本書 pp.79-82 以下の記述から抜粋する。
ブランコの紐の長さは一定値 `l = l_0` とする。外力は鉛直方向の重力 `f_0 = mg` のみとする(`m` は質量、`g` は重力加速度)。すると運動方程式は次の式となる。
上の式の両辺に `dottheta` を乗じて `(0,t)` で積分し、加法定理を用いて整理する。
ただし、`theta_"init" = theta(0), omega_"init" = dottheta(0)` である。また、健全なブランコ運動のために、`k^2 lt 1/2` とする。このとき、振り子は周期運動をする。 周期を `T gt 0` とし、初期条件を `theta_"init" in (0, pi/2], omega_"init"=0` とする。最初に `theta(t) = 0` となる時刻は `t = T/4` である。`0 lt t lt T/4` で考えると、 `dottheta(t)^2` の式の平方根の負のほうをとって `(0, t)` で積分すると次の式を得る。
書名 | 実験数学読本 |
著者 | 矢崎成俊 |
発行日 | 2016 年 6 月 20 日 第1版第1刷発行 |
発行元 | 日本評論社 |
定価 | 2800 円(本体) |
サイズ | A5 判 248 ページ |
ISBN | 978-4-535-78739-1 |
備考 | 草加市立図書館で借りて読む |
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