まえがきより引用する:
この本は,工系の技術者・研究者および工系へ進もうとしている学生諸君を対象に, 代数とその応用についてまとめた教科書兼参考書である.
章末には練習問題が置かれている。巻末には参考文献と練習問題の解答がある。
興味深い話題がある。第1章は代数系で、章末にミンコフスキー和とその可逆化についての話題が出ている。 第2章は束の話題で、その応用として2部グラフにおける DM 分解、さらにその応用としての連立方程式の分解を解説している。 第3章では半群と言語について扱っている。この場合の言語は主にコンピュータ言語を想定している。第4章では章末にバーンサイドの定理による同値類の数え上げがある。 第5章では商体の応用としてミクシンスキーの演算子法が載っている。第6章の拡大体では、記号摂動法と図形処理の節があり、これは第1著者の得意な分野だ。 第7章の「多項式環」では、グレブナー基底について触れられているがその応用については書かれていない。同じく第7章では乱数生成に使われる M 系列についての節があり、これは主に伏見正則の「乱数」 を参照するといいだろう。現在、乱数生成についてはメルセンヌ・ツイスターが席巻しているが、M 系列について学ぶのもいいと思う。第8章「整数」ではRSA暗号についての話題がある。 第9章「有限体」では線形符号についての節がある。
同値類の数え上げについては、本書の pp.61-62 により説明がある。 ここでバーンサイドの定理が役に立つ。バーンサイドの定理については数え上げ数学を参照してもらいたい。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 工学のための応用代数 |
著者 | 杉原厚吉・今井敏行 |
発行日 | 1999 年 10 月 15 日(初版第1刷) |
発行元 | 共立出版 |
定価 | 2500円(税別) |
サイズ | A5版 174 ページ |
ISBN | 4-320-01603-3 |
NDC | 411.6, 411.7, 411.74 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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