吉田秀和:私の好きな曲

作成日: 2009-09-18
最終更新日:

概要

26回に分けて、著者の好きな曲を紹介する。対象となる曲だけでなく、同じ作曲家の作った別の曲や、 同時代の作曲家の曲も含まれる。さらには、隣接領域である絵画や、観衆までも視野に入れて、 縦横無尽な解説と思い入れが展開される。

感想

この本によって、いろいろな世界が見えてきた。特に、フォーレとスカルラッティについてである。

音楽を知らない人にも音楽のよさを伝える意気込みが伝わる文章である。 しかし、難しいことばもあるので、それは調べないといけない。

本文への補足

D・スカルラッティ『ソナタ』群

p.251 譜例 1 の左手の和音が、下から a d e h となっているが、正しくは a d e a 。 p.249 の本文の音名表記は正しい表記になっている。

pp.252-253 現在ホロヴィッツのCDは、SICC 375 他で手に入る。収録曲は5曲増え、17曲となっている。

p.254 L24 のイ短調とあるが、正しくは L241 。なお、p.243 は正しく L241 となっている。

以下、ページごとに出てくるスカルラッティのロンゴ番号の曲について、 リンクを用意した。

p.243 L.449(ロ短調)L.241(イ短調)
p.248 L.465(ニ長調)
p.249 L.429(イ短調)
p.251 L.395(イ長調)L.422(ニ短調)、 L.449(既出)、L.23(ホ長調)L.487(ト長調)L.345(イ長調)L.104(ハ長調)
p.254 L.24(正しくは L.241であり、既出)、 L.349(ト長調)


フォーレ『ピアノと弦のための五重奏曲第二番』

pp.315-316 ベートーヴェンの『感謝の歌』とは、《弦楽四重奏曲 第15番 イ短調》作品132の第3楽章を指す。 この楽章にはドイツ語で、「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題されている。 ベートーヴェンは、この楽章を第1ヴァイオリンのCからAへの六度上昇から始めている。 一方、フォーレは該当楽章をヴィオラのDからHへの六度上昇から始めているので、 吉田が<彼(=フォーレ)は、この音楽をこの(感謝の)「歌」からの引用でもってはじめているのである。> と書いているのは、六度上昇のことをいっている。

なお、最新版はこのちくま文庫であるが、その前は新潮文庫で出ていた。新潮文庫版では、吉田は作曲者をフォレと表記している。 「フォーレと表記していたがいいようのない間違いであったので訂正する」という意味のことばが最後にあったが、 なぜかこのちくま文庫本ではフォーレという表記になっている。なぜ変わったのかはわからない。

章末に触れられている、ジャン・ユボーとヴィア・ノヴァ四重奏団による演奏は、CD で分売されている。

書 名私の好きな曲
著 者吉田 秀和
発行日2007年12月10日
発行元ちくま書房
定 価1300円(本体)
サイズ587ページ 文庫版
ISBN978-4-480-42391-7

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MARUYAMA Satosi