「はじめに」から引用する:
(前略)私は 1994 年に記号論理学の教科書を出していますが、本書はいま私が教えている立正大学文学部哲学科の学生たちを念頭において書いたもので、 以前出した教科書とはまったくと言っていいほど違うものとなっています。(後略)
要再読である。
第Ⅰ部は、記号論理学への導入である。記号は極力控えて、論理的な考え方を確認し、鍛えるために用意されている。 野矢は以前「論理トレーニング」や「論理トレーニング101題」といった著書で、日常言語で論理的に考えを表明するための方法を述べている。 本書の第Ⅰ部は、その延長線上にある。このような日常言語と論理を結ぶための内容は、インフォーマル・リーズニングと呼ばれることもあるようだ。
本書の趣旨とは違うが、雑学も身に付く。たとえば、p.4 の練習問題がある。
練習問題1 次の文が命題ならば〇、命題ではないならば×をつけなさい。
- 品川駅は品川区にある。
- 法隆寺は鉄筋コンクリート造りではない。
- 質問がある人は手を挙げてください。
- フランスの首都はロンドンである。
- 明けましておめでとうございます。
- 駅にはこの道でいいんですか。
- 借金の踏み倒しは犯罪ではない。
1. は命題である。ただ、「偽」の命題である。品川駅は品川区にはなく、港区にある。本書にはないが、目黒駅は目黒区にはなく、品川駅にある。 また荒川区に荒川は流れていない。以前は荒川が荒川区を流れていたが、荒川放水路が荒川本流となった結果、荒川区を流れていた荒川はすべて隅田川となったためである。
本書で言及されている他の本に、戸田山和久:論理学をつくるがある。
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書名 | まったくゼロからの論理学 |
著者 | 野矢茂樹 |
発行日 | 2020 年 2 月 26 日(第1刷) |
発行元 | 岩波書店 |
定価 | 1800 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-00-024829-7 |
その他 | 川口市立図書館にて借りて読む |
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