「はじめに」から引用する:
本書は,文字通り,ずぶの素人のための現代論理学への初めの一歩である. そして,おそらくはこれが終わりの一歩となるだろう読者を想定している.(後略)
副題は、Logic: An Introduction
要再読である。
本書の参考文献に、『現代論理学』,坂本百大・坂井秀寿
がある。この両氏の著者の新版があり、私は学生時代論理学の授業でこの本を用いたのは、
三浦俊彦:論理学入門に書いたとおりである。そこに書いたのは、4月からは9月までは坂本教官だったが、
10月からは坂井教官担当の予定が担当できなくなり、別の教官になった、ということだった。この後期の教官が誰だったか未だに思い出せないのだが、
ひょっとするとと思い当たる節がある。本書の参考文献に、『記号論理学』,清水義夫
という文献があり、この著者の清水氏が教官だったかもしれない、
という思いだ。とくに確固たる証拠はない。ただ、後期の授業に出たときに、とにかく黒板に論理式をずらずら書いていく教官でつまらないし、
参考文献も指定されないので何を基に勉強していいかわからない、という寂しさが募った。ちなみに、この清水氏の著書は 1984 年出版であるが、
私が後期の(ひょっとしたら清水教官の)授業を受けたのは 1984 年前である。
「第2章 述語論理」を読んでみた。2-1-1 伝統的論理学で、アリストテレスの時代の論理学とはこういうものかというのを、初めて正確な形で知った。
p.78 の問題を引用する。
問題 32 「犬」と「動物」という語を用いて(どちらが主語でもよい),四つの基本文型に合致するような例文を各々作ってみよ. そのとき,正しい(すなわち事実に合った)例文を作れない文型が一つあるが,それはどれか.
作ってみた。
この A は正しい。E は正しくない。I は正しいが、O は正しくない。では E と O について主語(`S`)と述語(`P`)の順番を入れ替えてみよう。
E' は正しくないが、O' は正しい。ということは、問題 32 の「それはどれか」という問には E である、ただ、違和感が残る。論理としてはまちがいではないのだが、 日本語の言いまわしとしてひっかかる、ということだ。「すべての動物は犬ではない」ということは、私の中では「すべての動物が犬というわけではない」ということであり、 後者の言い方をしたい、というだけだ。動物の中にはいろいろいるが、犬もいれば犬以外の動物もいる。 その犬も動物の一種だということが「すべての動物が犬ではない」という言い方に戸惑う理由だ。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 論理学 |
著者 | 野矢茂樹 |
発行日 | 2010 年 1 月 8 日(20 刷) |
発行元 | 東京大学出版会 |
定価 | 2600 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-13-012053-1 |
その他 | 川口市立図書館にて借りて読む |