高木 秀夫:基礎から学ぶ量子化学 |
作成日: 2019-11-26 最終更新日: |
「周期表」と「分子の中の原子の概念」を、軌道と電子数に基づいて論理的に理解することを目的とする。
わたしが見ているのは、2012 年 11 月 25 日 初版第1刷の書籍である。 これを見る限りところどころ誤植があるので気を付けながら読むべきだろう。ただ、 わたしはやさしい誤植しか見つけられていない。 たとえば、本書のあちこちで「直行」という文字がみつかるが、正しくは「直交」 である。これは、関数の直交性をもとに各種の解析学を展開しているからである。 冒頭から p.239 までの間はほとんどが「直行」の文字である (一部、pp.149-150 などのように「直交」となっている箇所もある)。 一方、p.241 からは正しく「直交」となっている なお、p.240 には「直交」も「直行」もない。
数式の誤植には見つけるのがやさしいものもある。
たとえば、p.73 の 7-6 式では、一部記号が抜けている。ただしくは次のとおり。 この赤色の `color(red)(del)` が抜けている。
`(del^2/(del theta^2) + cos theta / sin theta color(red)(del)/(del theta) + 1/sin^2 theta del^2/(del phi^2))
Psi(r, theta, phi) + lambda Psi(r, theta, phi) = 0`
`lambda = (2mu R^2 E)/ℏ^2`
数式の誤植には見つけるのがむずかしいものもある。
数式でないが、見つけるのが容易な箇所がある。 p.75 上から9行目、ルジャンドル倍多項式、とあるが 、正しくはルジャンドル陪多項式、である。 また、p.106 上から8行目、自己無橦着場とあるが、 自己無撞着場が正しい、
それから、pp.233-234 に、(最終的にはルジャンドル(Laguere)陪多項式と呼ばれる多項式系の解を与える)
とあり、
これはルジャンドルか、Laguere かが誤りである。おそらくは正しいであろう記述は次の通り。
(最終的にはラゲール
(Laguerre)陪多項式と呼ばれる多項式系の解を与える)
そして、このラゲールの陪多項式を与える微分方程式を次のとおり掲げている。
`x (d^2y)/(dx^2) + (c-x) (dy)/(dx) - by = 0`
この形の微分方程式は確かにラゲールの陪多項式を与える微分方程式である。 ラゲールの多項式 を参照のこと。
わたしははるか昔に量子化学を習ったが、ほとんど理解できないまま単位だけを取得した。 その後の社会人でも量子化学どころか化学とも無縁な生活を送っている。 だからこの本を手にとる理由はまったくないのだが、自分が気になって数学用語を調べてみた (その用語が何であったかは思い出せない)。 すると、著者のホームページが検索対象に出てきた。 ページをくっていくと面白いことが書いてあったので応援したくなった。 著書が2冊あったが、どちらもというわけには懐事情が許さなかったので、 基礎的な本書を買った次第だ。
数式には ASCIIMathを使っている。
書 名 | 基礎から学ぶ量子化学 |
著 者 | 高木 秀夫 |
発行日 | 2013 年 9 月 10 日 (第4刷発行) |
発行元 | 三共出版 |
定 価 | 2800 円(本体) |
サイズ | ページ |
ISBN | 978-4-7827-0675-6 |
備 考 |
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