「あとがき」から引用する。
ともあれ、この本を買って読んでくださろうという方には、もうお礼の言葉もありません。 もちろん、買わなかったけれど、人から借りて、あるいは図書館で、頁を開いてくださる方は、そのうしろから、わたしには御光がさして見えます。
私は本書をおよそ 40 年以上前に読んだはずだ。そのとき、本書には方言のことが多く書かれていると思った。中でも忘れられない方言がある。 ごはんとおかずがいっしょに出されておかずの量に比べてごはんが少なく、ごはんを食べ終わってもおかずが余っている状態を一言で指す形容詞のことであるが、 それはこの本には載っていなかった。同じ川崎洋の著書にあったとおもうのだが。
p.227 にこんな話が紹介されていた。チャップリンが素性を隠して、チャップリンのそっくりさん大会に応募したら二番になった、という話を受けてこう続く。
これは人から聞いた話で、真偽のほどは保証しかねますが、それはそれとして、ある真実をえぐった、大そう興味深いエピソードです。 つまり、「らしい」ものが、一見ホンモノとして世間一般に通用しがちだということです。 日本でも昔から、「味噌の味噌臭きは上味噌にあらず」と言います。いかにも味噌の味がぷんぷん匂うようなのは上等の味噌ではないと言うことです。
この「味噌臭い味噌」の話は、たまたま同じころに読んでいた片山杜秀『大楽必易 わたくしの伊福部昭伝』にも出ていた。
書名 | ごてる いぎる びびる ‐ 言葉のノート |
著者 | 川崎洋 |
発行日 | 昭和 55 年(1980 年)12月 20 日(初版) |
発行元 | 花曜社 |
定価 | 2500円(本体) |
サイズ | |
ISBN | なし |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む。 |
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