ゲルマンQ製作委員会:ゲルマンQ |
作成日: 2015-06-06 最終更新日: |
ドイツ記念年やワールドカップを当て込んだものと思われる。2005 年に書かれた、ドイツ語初心者向けの雑学クイズ。 著者はゲルマンQ製作委員会となっているが、奥付を見ると執筆の項があり、高井ジロルという名前がある。 表紙には、der Weg nach Deuschland という文字が躍っている。これは「ドイツへの道」という意味だろう。
外国語がある種の分野に特化することは多い。この本にも載っているが、カルテということばは日本語では医者が診察のとき記載する診療録を意味するが、 ドイツ語ではほかにも切符やトランプ、チケット、地図なども意味する。
さて、ドイツ語が活躍している分野には医学がある。だからなのだろうか、die Lage が「体位」、die Samen (単数形は der Same) が「精液」 で流通しているが、die Lage は「姿勢、態度」などを、der Same は「種子」を表す。
ドイツが中心の分野は、音楽だろうか、サッカーだろうか、と気にしていたら、最初は車や交通だった。 恥ずかしながら、この本を読んで初めて、ガソリンエンジン自動車を作ったのがベンツさんだということを知った。 それならば、ディーゼルさんも出てきてよかったのではないだろうか。
音楽関係の問題が 21 問というのは少しさびしい。そして実際の問題は、楽曲の題名がほとんどだった。 せっかくなのでほかのドイツ語の話題、たとえば、楽器の名前も取り上げてほしかった。 仕方がないので、私が書く。次の楽器はそれぞれ何だろうか。
答えはそれぞれバイオリン、ビオラ、ピアノである。ガイゲもブラーチュも、ドイツ語らしい響きだ。 クラヴィアはフランス語経由であることから、v はにごってヴの音になる。ドイツ語固有の単語であればにごらずにフの音になる。 たとえば、4 を意味する vier はフィアと読む。 しかし、この本の趣旨では日本でよく知られているドイツのことばを取り上げるのが基本だから、このような話題は出ないのだろう。
Q125 では「サッツ」が紹介されている。 A125 では Satz はザッツと読むこと、 意味はスキーのジャンプ競技での跳躍であることが答として出ている。 日本でドイツのことばが紹介されるときは、Q125 のとおり、冒頭の S はにごらずに読んでしまいがちである。 ちなみに音楽では休符の後の音出しの合わせをアインザッツ(Einsatz)と表現するので、自然とにごった読みで覚えている。
読みがにごることでついでにいえば、 ドイツの有名な電機メーカーにシーメンス(Siemens)グループがある。心ある人(あるいは気取りたがり屋)は、 本国人と同様「ジーメンス」と呼んでいる。
Q048 の質問を引用する。
バイエルン州の街、ニュルンベルク ( Nürnberg ) の Berg (ベルク)って、どういう意味?
A. 山 B. 川 C. 豊
C. の選択肢の意味がわからなかったが、それぞれの選択肢をつなげたところやっと意図がわかり、脱力した。
p. 161 の囲み記事で、ドイツ文学の影響を受けた作家を森鴎外としているが、インターネット上ならともかく、書籍としては森鷗外の名前で表示してほしかった。 ついでに、同じく影響を受けた作家である北杜夫の作品を「楡家の人々」としているが、正しい表記は「楡家の人びと」である。
書 名 | ゲルマンQ |
著 者 | ゲルマンQ製作委員会 |
発行日 | 2005 年 6 月 20 日(初版) |
発行元 | 株式会社アートン |
定 価 | 1000 円(本体) |
サイズ | 判 |
ISBN | 4-86193-007-3 |
その他 | 南越谷図書館で借りて読む。 |
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