高木 仁三郎 : 市民科学者として生きる

作成日 : 2021-06-17
最終更新日 :

概要

あとがきから引用する :

本書の作業を通じて、 自分のこれまでの歴史と闘病中の現在とを見つめ直すことができたことで、 私は確実に前に向かうベクトルを得たということである。

感想

久しぶりに読んでみた。どこをとっても面白い。もちろん、原子力発電反対に関する個所は面白い、 というところは不謹慎なのだけれど、端々のちょっとした記述にうなるところが多くあった。 たとえば、p.80 で、著者が企業に入社して、放射性物質の基礎研究にのめりこむあまり、 自分の身の回りの放射のの安全には鈍感になっていたくだりを述べているところだ。その最後の段落を引用する :

二、三年もした頃には、研究を手伝ってもらった若い助手の人に、 「少しぐらいの放射能を恐れていては一人前になれないぞ」などと言うようになっていた。 後年、原発事故の講演会で、 「専門家が放射能の怖さをいちばんよく知っているはずなのに……(事故時の放射能放出なのに無神経なのはなぜか)」 とよく質問を受けたが、 仕事が安全に優先する心性は、すでにいちばんスタートの現場から出来上がっているのである。

高木仁三郎の本

書誌情報

書名市民科学者として生きる
著者高木 仁三郎
発行日1999 年 9 月 20 日 第 1 刷
発行元岩波書店
定価700 円(税別)
サイズ
ISBN4-00-430631-0

まりんきょ学問所読んだ本の記録 > 高木 仁三郎 : 市民科学者として生きる


MARUYAMA Satosi