巷にあるとんでもない翻訳を取り上げ、正しい翻訳の在り方を示す。
私は相模原図書館で、氏のこのシリーズ(特選になる前のそれぞれのハードカバー本)を借りて、 そのたびに面白がっていたことを思い出す。今こうやってみていても、そのときのことを思い出す。 特に、ブレンデルの「楽想のひととき」の誤訳には笑った。私がピアノをやっていたということもあるが、 これほどまでに誤訳のオンパレードだったとは。そして思い出すのは、この「楽想のひととき」も 私は相模原図書館で借りていたことがあったのだが、この別宮氏の書評を見る前だった。 お恥ずかしいことに、このときは誤訳だらけということの印象も持たずに読んでしまったのが残念でならない。
p.273 で、次のラテン語が出ている。
A custodia matutina usque ad noctem speret Israel in Domino.
著者はいう。しかるべき本を調べれば
「朝より夜にいたるまでイスラエルは主に希望すべし」
という定訳がたちまちみつかるはずなのだ、と。
うーむ、この定訳のほうは詩篇第129番に出ているのはわかった。しかし、ラテン語の文とは結び付かないのだ。
ここでイスラエルというのはイスラエルの民のことなのだろう。
書 名 | 特選 誤訳・迷訳・欠陥翻訳 |
著 者 | 別宮 貞徳 |
発行日 | 年 月 日 |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | 円(本体) |
サイズ | 版 |
その他 | つれあいからもらう |
NDC |
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