環境の変化

作成日:2002-05-19
最終更新日:

環境の変化とマニュアルへの対応

ISO 9000 をやっていると、どうしても次のような考えに陥りがちである。 すなわち、マニュアルの通り仕事を行うことが大事であり、 マニュアル通り行っていれば問題がない。 それが本当に ISO 9000 の考えに適っているかどうか、考える。

マニュアルには、誰もが同じ程度の水準に達することが求められる。 そこには、組織のもつ特性は考慮されても、個人がもつ特性は考慮されていない。 また、環境が変化しても、マニュアルは変わらない。マニュアル自身は意志をもたないからだ。 これらがマニュアルのもつ弱点である。

ISO 9001 の 2000 年版では、文書化の対象は減少した。 これによって、マニュアルを作る手間は減った。しかし、マニュアルを減らすのも勇気がいる。 ISO 9001 を 1994 年版でとった組織は、 すでにあるマニュアルを使い続けているところが多いのではないだろうか。 また、環境の変化に合わせてマニュアルも作り直すことが必要となる。 2000 年版で、改善という節が独立して新設されたほどである。 実質は、従来の是正処置・予防処置を初めとした各種の見直し活動である。 だから、環境が変わっても後生大事に同じマニュアルを使い続けていたとすると、 それで不都合が生じるならば不適合となる。 マニュアルを保守するというのもまた品質システムの活動の重要な要素となる。 いっそのこと、マニュアルの一部、あるいは全部を削除してしまうのも、 場合によっては立派な改善提案になるだろう。

もう一つ、個人とマニュアルとの整合性がとれない問題を解決するには、 個人が努力して自分専用のマニュアルを作ることが必要である。 ソフトウェアではたとえば、 PSP という活動がある。この活動では、 自身の起こしたソフトウェア開発時のエラーを克明に書き留めて後の開発に活かす、 という作業を体系的におこなっている。もちろん、個人の意識的な活動は、 ソフトウェア開発にとどまらず、すべての仕事に通じる。

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MARUYAMA Satosi