計算の品質とは

作成日:2001-01-23
最終更新日:

計算の品質、ということばは伊理正夫先生が提唱していたように覚えている。 確か、雑誌"bit"に記事が掲載されたのを読んだ。 製品の品質では日本は世界に誇れるが、計算ではどうか、そんな主旨だった。

その記事の中で、 伊理先生はさりげなく(あるいは堂々と)自身の研究になる高速自動微分法の宣伝もしていたけれど、 そんなのはついでの話だったと思う。 計算に対してもっと興味をもとう、というのがいいたかったことではないかと思う。

わたしはどういうわけか、伊理先生の授業を受けたことがある。授業に出たことだけは覚えているが、 詳しい内容は当然の事ながら忘れてしまった。 しかし、伊理先生が最後の授業にいったことだけは覚えている。 「私が今まで教えたことは忘れてもいいですが、 これだけは忘れないで下さい。線形計算には逆行列は絶対に使わないこと。」 この教えを守って、私は簡単な最小二乗法を解く時にすら、 逆行列は使わず正規方程式から LR 分解により係数を求める。 より正確に値を知りたいときは、QR 法を用いている。

いったい何の話か、と思われたみなさんもおありでしょう。 だいたい、巷の人のレベルでは、とにかく散布図があって、あてはめの直線が引くことができれば、 ということなのだろう。 その先などわからなくてもいい、わからなくて当然だ、否、そんな話があったの、 と聞かれるのがおちだろう。 そんななかでも、少しはお話をできればいいと思う。

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MARUYAMA Satosi