同意を求めるインターフェース

作成日:2005-02-18
最終更新日:

デフォルト状態

ユーザーインターフェースを考える上で、最近気になった事例を紹介する。

ソフトウェアをインストールすることを考えてみよう。 そのとき、最初に使用許諾契約を求められるはずである。 このときのインターフェースはどうなっているだろう。 おそらく、次のようになっているのではないか。

下記の告知事項に

同意しません。
同意します。
告知事項
かくかくしかじか...
キャンセル次へ

最初(デフォルト状態)は2つのラジオボタンがあり 「同意しない」が選択された状態になっている。 このとき、 インストールを進めるための「次へ」のボタンは押せない状態であり、 それを示すために上の例では字を薄くしている。 そして、「同意する」ボタンを押すと、 初めて「次へ」ボタンが押せる状態になり、字も濃くなる。 なお、ここの例では、ラジオボタンを「同意する」としても、字は濃くならない。

インストールを進めるのが普通であるから、 ボタンは最初「同意する」が選択された状態になっているのが自然だろう。 しかし、最初「同意しない」が選択されているのは、利用者に告知事項を読んでもらいたい、 その結果として利用者が同意したという証拠を積極的に意思表示してほしい、 このような意図をソフトウェア提供者が持っているからだ。 だから、後に提供者と利用者がトラブルになった場合、 利用者は「告知事項を私は読んでいない」と言い張っても 提供者が「いや、あなたは告知事項に同意したことになっている。」と迫ってくる。 だから、このインターフェースは深い意味を持っている。

このような意思表示方法は、ソフトウェアのインストールに限らず、 WEB上での個人情報提供など、 さまざまなところに見られる。

私は上の事実をある組織の方から最近学んだ。利用者の積極的な意思表示を、 デフォルト状態を変えることと操作を制御することで明確にすることができる。

後日談

さて、この話には後日談がある。最近、その組織が主催する講演会に申し込んだ。 WEBで申し込み画面が表示されている。申し込みに必要な事項が並ぶ中で、 最後に次の項目があった。

個人情報の利用  ご入力頂いた氏名、メールアドレス等の個人情報を、 当会からのご案内等に利用する場合があります。この件につき利用の可否をチェック願います。
承諾する 承諾しない

何だよ、言うことと行なうことが違うじゃないか。

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MARUYAMA Satosi